4けたの数・大きな数~思考力の評価を意識した授業計画~授業展開②

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目次

1 はじめに

本記事は、「単元計画と授業づくり~算数の思考力・表現力を育てる~教材研究編・授業展開①」の続きです。
 教材研究編では、学習の繋がりや教材の準備の仕方を中心に単元計画の立て方、授業展開①では、「100より 大きい 数を しらべよう」を例に、単元計画を実現するために、どのような教材を準備して、どんな順番で授業を進めたのかを紹介しました。

本記事では、6月の学習「100より 大きい 数を しらべよう」が、「ひっ算の しかたを 考えよう(9月)」、「1000より 大きい 数を しらべよう(1月)」の単元とどのように繋がっているのかについて、思考・表現の評価プリントを中心に紹介していきます。
教材研究編
授業展開①

2 他の単元にも繋げる学習①

「ひっ算の しかたを 考えよう(9月)」

この単元では、繰り上がり・繰り下がりの考え方が出てくるので、100より大きい数の単元で大切にした「位で数を捉える」「10のまとまりで次の位に引っ越す」という考え方が生きてきます。
 写真は思考の評価ですが、どちらも問③がA課題です。(2段回繰り上がり・繰り下がり)
 4月から繰り返してきたので、この時期には、自分の考えを進んで説明できるようになってきました。友達の説明を見聞きして、「こうやって書けば分かりやすい。自分も上手に説明できるようになりたい」と思ってきます。

足し算のひっ算

引き算のひっ算

3 他の単元にも繋げる学習②

「1000より 大きい 数を しらべよう(1月)」

次は1月の学習です。この単元は、かけ算に続き2年生のまとめになる大事な単元です。
 6月の100より大きい数での学習を生かして授業を進め、今回も「位で数を捉える」「10のまとまりで次の位に引っ越す」という考え方を大切にしながら単元を組み立てました。
 教材はいつもと同じように、プリント一覧からピックアップ&アレンジして準備します。プリント左上の数字はプリントを使う授業時数の番号です。なんとか単元に入る前に準備できれば、「明日の授業はどうしよう」と悩むことも少なくなります。

これまで具体的な操作を多く取り入れてきたので、本単元ではタイルなどの具体物はあまり使わず、図や絵を書く作業を中心に学習しました。

思考評価①

導入では、班で6月に作ったオレンジの100のカードを10枚集めて1000を作る活動をしました。
 そして、数の読み書きが終わったら4時間目に思考の評価プリントです。100より大きい数の単元で繰り返し行った考え方なので、1000の位になっても大丈夫です。
 これまで、どの単元でも他教科でも「自分の考えを書く」ことを繰り返してきたので、書くことが楽しくなってきているようです。
 

評価プリント

児童のプリント

プリント右上に「1が5こだからおひっこしはしないよ」と書かれています。相手に説明しようとする意識がみられます。
 よく書けているものは、コピーして全員に配布したり、教室の壁に掲示したりして、クラスで共有します。他のクラスとの貸し借りや、前年度のものを見せることもよくあります。
 

思考評価②

6時間目に2回目の思考評価プリントです。前期のリベンジでもあり、本単元で最も大切な課題になります。今までの学習を生かした思考・表現をみとります。

評価プリント

評価の実際

全体的によくできていたので2問正解でAを付けたかったですが、学年で相談した結果、問②で分解の考え方をしているものをAとしました。
↓A:分解→1000に×、「千をくずして」

↓A:分解→1000を点線で表す。

↓B:2400を説明する際に「まず100を24こかきます。そして100が10こで1000だから」と、合成の考え方をしています。

↓児童の作品を並べて評価の基準を検討します。

100の位での評価プリント(6月実施)

6月の時点で1月の評価プリントのイメージは固まっているので、ここから1月の本単元に向けて半年間の授業が進みます。

計算の仕方

今回の単元では計算の仕方は下のようなプリントで学習しました。
式、図やことばを空欄にして、自分で問題を考えられるようにした方が良かったと思います。

繰り返しで定着する数直線

単元の最後はまたもや手ごわい数直線です。
 6月と同様に「1めもりの大きさ」を意識できるようにヒントを書き加えたり(プリント赤丸)、すごろくゲームで「○飛びの数え方」を身に付けられるようにしました。

1めもりの大きさに注目する

すごろくゲーム

4 まとめ

今回の算数の単元では、「位で数を捉える」「10のまとまりで次の位に引っ越す」という考え方や、「自分の考えを図や言葉で説明すること」にこだわって授業を計画しました。そして、そのねらいが達成できるように活動やプリントを用意し、子どもにも学習の繋がりや自分の成長が感じられるように心がけて授業をしました。

大切なのは、4月の実態をみて半年・1年後(または数年後)にどんな力をつけたいのか、そのためにはどんな方法があるのか、を具体的に考え計画的に進めることだと思います。

また、単元を意識して授業を考えることで、1時間ずつ授業を考えるよりも、見通しを持った計画が立てられるので、教材の準備がしやすかったり、繰り返し学習の重点が決まるので学習の定着も良かったりします。

単元計画を立てる参考として、神奈川県立総合教育センターが作成した「単元構想シート」があります。下のURLからダウンロードできます。
(神奈川県立総合教育センター)
http://www.edu-ctr.pref.kanagawa.jp/Snavi/kadaiSnavi/#kaizen

写真は「単元構想シート」を活用した三角形と四角形の単元計画です。

単元構想シート

三角形と四角形

課題

2年生は高学年に比べて学習の蓄積が少なく差が小さいです。学年が進むにつれて、定着の差をどうするのか、という課題がでてきます。
 また、学年が進むにつれて学習内容が具体物から離れてきますので、実感を持った理解をするためにどのような活動を用意するかを考えることは難しくなると思います。

評価の参考資料

本記事では、以下の参考資料をもとに評価を実施しました。
「評価規準の作成、評価方法等の工夫改善のための参考資料」(国立教育政策研究所)
『平成23年版 観点別学習状況の評価規準と判定基準』北尾 倫彦 (監修)、2011、図書文化社

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