坪田信貴氏インタビュー【関西教育フォーラム2018】

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作成者:横田 和也 (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

この記事は、2018年11月25日に開催された関西教育フォーラム2018「学校×塾×家庭で対話する"その子らしさ"を引き出す新時代の教育」の登壇者であり、坪田塾の塾長を務められている坪田信貴氏へのインタビューを編集・記事化したものです。
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坪田氏には、教育の目指すものや、そこにおける学力のあり方についてお話しいただきました。

2 インタビュー

ー今回のフォーラムのご感想をお聞かせください。

小学生の教育に携わる方々とお話できたのが面白かったです。具体的な方法論の部分では中高生と小学生で全く違うけれど、本質的な部分では共通点も多いと感じました。例えば、子どもの点数が上がれば学級崩壊は起こらない、ということをおっしゃっている方がいましたが、これは中高生も同じで、成績が上がっている子どもは学校の文句を言わないように思います。

また、それは子どもの教育だけではなく社員教育にも言えることです。私自身、企業の研修などにも携わっているのですが、会社で結果が出ている人は会社の愚痴を言わず、文句を言うのは成果を挙げていない人であることが多いです。

ー生徒が自宅でインプットを行い、授業でアウトプットを行う反転学習を取り入れていらっしゃるということですが、生徒のモチベーションをどのように保っていますか。

生徒が解いてみて、正解が6割、間違いが4割になるような問題を選べば、生徒は勝手に勉強します。生徒が勉強しないのは、理解できないことを勉強し、どうやっていいかわからなくなるからです。できる子は楽しいから勉強するし、できない子は面白くないからしないのです。それならば、生徒ができて楽しいところをやらせればいいだけの話。それが、私の経験上では正解が6割、間違いが4割という問題の出し方です。その意味では、指導者の仕事は生徒のできないところを見つけて、正解が6割、間違いが4割になるような問題を出すというとてもシンプルなものです。

ーフォーラム中に「教育の成果」について議論がなされましたが*、坪田先生にとって「教育の成果」とはなんですか。

*フォーラム内容はこちら(準備中)

私は、最終的な成果は「自分が100年かけても達成したいと思うことを見つけること」と、「その仲間を見つけること」だと考えています。それを達成した人というのは、幸せだと思います。大学受験合格、月収100万円などといった目標は、実はすぐ達成できる、つまらないものです。そういうものではなくて、自分が本当に100年間かけてでも絶対に達成したい、何回でもトライしたいと思えるものを見つけられたら、それを達成できるか否かによらず幸せだと思います。

また、人間は社会的な生き物ですから、その目標に共感してくれる仲間がいるというのもとても大切なことです。何かをやりたいと思ったとしても、友人や好きになってくれる人がいなければ不幸だと思います。

ー坪田先生は塾での指導を通して子どもの学力を伸ばしていらっしゃいますが、学力がその「成果」につながるとお考えですか。

少し違います。今の子どもたちの多くは勉強嫌いで、勉強ができないせいで学校の先生に怒られたり、友達からいじめられたり、親に叱られたりして自信をなくしてしまいます。
だから、私たちがしているのはその怪我の修復のようなことです。勉強ができるようになれば、人間関係が上手くいくようになり、自分に自信が持てるのです。

さらに言えば、私は基礎学力自体が重要だとは思っていません。例えば、大人に「1467年に何がありましたか」と聞いてみても、ほとんどの人は答えられませんし、「応仁の乱って何ですか」と聞いても、多くの人は分かりません。そんなのものには意味がないと思います。基礎学力そのものが重要なのではなく、基礎学力不足によって自信が損なわれることを避けたいのです。

ーフォーラム中、「学校をなくしたい」「義務教育をなくしたい」とおっしゃっていたのはなぜですか。

子どもは本来多様なものですが、学校ではそれが統一されてしまいます。本当は、3時間目が算数の時間だからといって、私の子どもが算数をやらなければいけない理由はないですよね。国語でもお絵かきでも、やりたいことをやれば良いのです。学校が決めたカリキュラムで勉強しなければいけない理由なんて、本当はないのです。

小中高での良い生徒というのは、先生がやりなさいと言ったことをきちんとやってきた人です。ところが、それは、国から言われた通りにやる、親から言われた通りにやる人材と同じです。そして、社会の言う通りに生きている人は100年かけても成し遂げたいものを見つけられないのです。今の学校は、そういう人を育てる場所になってしまっていると思います。

だから、私はどのような教育を受けるかは、子どもの個性や各家庭の教育方針に合わせて各家庭が決めるべきだと思っています。

ー経済的な理由などから、学校以外の選択肢を取りづらい家庭についてはどうするべきだとお考えですか。

今の世の中では、経済的な理由を言い訳にできなくなっています。個人でもクラウドファンディングで簡単にお金を集めることができますし、ネットであらゆるシステムを自分で作れますから、「こういう風にしたいんです」「うちの子はこうなんです」「教えてください!」と言えば、ただでもやるという人は見つけられますし、お金も集まります。

貨幣経済ではなく、いわゆる信用経済へと変化している今の社会では、協力を得るために、それまで人とどのように接してきたか、が大切になります。

ーありがとうございました。

3 登壇者のプロフィール

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【講演録】

【フォーラム後インタビュー】

また、この記事は関西教育フォーラム2018の連携企画となっております。以下の記事も併せてぜひご覧ください。

5 編集後記

既存の教育のあり方、学力という一種の権威に縛られず、「幸せな人生とはどんなものか」というところから教育の意義を考えていらっしゃる坪田先生。誰でも広義の「自由」を享受できる今の時代、坪田先生のような姿勢はあらゆる人に求められているのだと感じました。
(文責:EDUPEDIA編集部 倉橋、出井、横田)

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