筆算の学力がうまく積み上げられていない場合
小学校算数では、繰り返し四則計算を学習します。その中でも、筆算は教師も子供も、またかと思うほど繰り返し、時間をかけて学習することになっています。
四則それぞれの筆算を桁数を増やしながら学習した後で、小数の筆算という形で再び学習をします。
各学年の担任がしっかり、じっくりと各学年での筆算の学習に取り組んで、成果を残してくれることが大事であることは言うまでもありません。ところが、必ずしもそうでない場合もあります。
筆算の学習が2年生からかっちりと積み上げられていない場合、5年生の「小数÷小数の筆算」では、悲惨な授業展開となってしまいます。
かけ算の筆算の中にはたし算の筆算、わり算の筆算の中にはひき算の筆算が含まれており、桁数が多くなるとこれらを正確に処理する力がないと正答には結びつかず、子供たちは高学年の筆算の学習に嫌気がさしてしまいます。
「小数のわり算」躓きの分析と対応【教材】 | EDUPEDIA
で詳しく書いていますので、ご参照ください。
十分に復習をさせてから次のステップへ
そこで、各学年でその学年の筆算だけを教えるという考えからすこし脱却して、単元に入るまでに、それまでの学年での復習をさせていきながら、力をつけようと考えました。
教科書にも既習事項の復習のページがありますが、それで事足りるケースは少ないと思います。全学年までの学習を十分に復習させるだけの教材が必要です。
エクセルでプリントを作ってみましたので、下のEDUPEDIA内の記事よりダウンロードしてみてください。
小学校で習う筆算(2年生~5年生)を網羅、手軽に使えるミニプリント【教材】 | EDUPEDIA
それまでの学年での筆算の学習の進化過程に沿って、問題を作成しています。これを、ノートに筆算の形に直して、練習させていきます。中には暗算でできるものもありますが、筆算でさせてください。
朝の学習の時間などを利用して、長い期間をかけて少しずつ復習をさせていきます。最初から一人一人の躓きに対応する事は困難ですから、初めのうちは網をかけるというつもりで、一斉にやらせます。
長くやらせる必要はありません。しっかり集中して7分程度、できるところまでやって、3分で答え合わせでいいのではないでしょうか。次に日にはまた続きをやっていきます。
教師は筆算のルールをきちんと守らせ、きれいにノートが書けているかをチェックします。
1年生のたし算・ひき算やかけ算ができていない子供には、筆算の指導と並行しながら百ます計算で1桁の計算の基礎固めの練習をしておく必要があります。
百ます計算で成果をあげる方法Ⅰ ~少しユルめの百ます計算指導の実際【教材】 | EDUPEDIA
筆算の指導の詳細については、
で詳しく書いていますので、ご参照ください。
力の差に対応しながら
それぞれのペースで、やればいいという事を原則にします。力のない子供を抽出するという目的も持ってやるといいです。どうしても一人で復習する力のない子供は、抽出して、放課後などに補習をしてあげるといいと思います。
早く終えた子供は、朝の読書でもさせてあげればいいと思います。
とにかく、静まり返った状態で集中して取り組むことが大事です。
過去の個々の積み上げができていない部分に対する対処に関しては、
計算検定【教材】~筆算の力を積み上げていくために(2) | EDUPEDIA
をご参照ください
取り組む時期
2年生以上の全学年で、責任を持ってやればいいと思います。どのプリントをやらせるかは、子供の状況に応じて決めてください。
筆算ができない子供の割合がかなり高い場合は、できれば4年の後半ぐらいに、このプリントを全部やらせるぐらいの計画を立ててみてください。でなければ、5年生の前半に「小数÷小数の筆算」の単元にかかるまでに取り組んでおくことをお薦めします。
筆算に関してはEDUPEDIAにはたくさんの記事が載っています。
小学校で習う筆算(2年生~5年生)を網羅、手軽に使えるミニプリント【教材】 | EDUPEDIA
筆算の力を積み上げていくために【教材】 | EDUPEDIA
等も是非ご参照ください。
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