2年生算数筆算 ~たし算・ひき算の筆算を楽しく【教材】

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目次

初めての筆算

 2年生では3桁の数を習い始め、それに伴ってたし算・ひき算の筆算を学習します。整数・小数の四則計算は5年生になるまで続き、2年生が筆算のデビュー年となります。2→3→4→5年と、学年が上がるごとに次々に新しいタイプの筆算が登場してきます。2年生で計算嫌いに陥ってしまうと、その後にたいへん響きます。

「な―んだ、筆算なんて大したことないじゃん」

と思わせて3年生に進級させてあげたいですね。2年生の筆算は最初のうちは手慣れてしまえば暗算でもできるような内容の筆算もあります。例えば、42-384とかです。

ところが、後半に九九の暗算に四苦八苦して時間をとられるため、2年生の筆算を習熟する時間的な余裕はあまりありません。だからと言って十分に習得できないままに落ちこぼしをたくさん出してしまうと、5年生の「小数のわり算の筆算、余りあり」までの間にどんどん脱落してゆき、5年生の教師はお手上げ状態になってしまいます。「小数のわり算の筆算、余りあり」がどれぐらい厄介な授業になるのかは、下の記事をご参照ください。

「小数のわり算」躓きの分析と対応【教材】 | EDUPEDIA

では、2年生以降の学年の教師が困ってしまわないために、どのように指導していけばいいのでしょうか。

1年生時のたし算・ひき算をもう一度しっかり復習させる

2年生の筆算で躓く大きな原因は、1年生のたし算・ひき算の習熟が十分にできていないケースです。8+614-7に指を折って計算しているようでは、筆算の学習がはかどりません。
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年生に遡ってたし算・引き算を習熟するには時間がかかり、もたもたしているとすぐに筆算の授業が始まってしまいます。それどころか、後半にはかけ算の学習が待ち構えています。ですから、筆算と並行する形で1年生の復習をするつもりでいるといいと思います。

放課後に子供を残すことが難しくなり、個別で対応するのが難しい時代になってきているので、百ます計算を導入するのがいいと思います。百ますで個々のタイムをとって個々の伸びに注目して進めれば、子供たちも復習のし甲斐があります。百ます計算の指導については、下記のリンクをご参照ください。

百ます計算で成果をあげる方法Ⅰ ~少しユルめの百ます計算指導の実際【教材】 | EDUPEDIA

百ます計算で成果をあげる方法Ⅱ ~誰にでもできるユルめの百ます計算の方法と成果 | EDUPEDIA

楽しく、声を上げながら

 筆算の学習は手順をしっかりと覚えることと、なぜその手順になるのかを理解させることが大切だと思います。とにかく、楽しく手順を習得させることを優先します。そんなに長い時間をかける必要はありません。手順を素早く教えて、実戦(プリント)をさせることが大事です。

手順とその意味を理解してもらうために、パワーポイントで少し動きがあって楽しいスライドを作りました。下リンク先よりダウンロードしてください。

2年算数 ひっ算のたし算・ひき算 パワーポイント教材

2年生の筆算にもいくつかのパターンがあるので(繰り上がりや繰り下がりのあるなし、空位のあるなし)、スモールステップで各パターンを抽出して作っています。是非ご利用ください。下図のように数をコインで表して、コインや数字が動くように作っています。


T「8たす4は?」
C
12!」
T
122は一の位に書きます。10を表す「1」は何の位に書きますか?」
C「十の位!」

などと、確認しながらパワーポイントを動かしていきます。ホワイトボードに映し出しているなら、途中で子供にマーカーで答えを書かせてもいいと思います。例えば、上の「2」の部分。これにパワーポイントの「2」が上手に重なるだけで、盛り上がります(笑)。

全く学習とは関係ないのですが、効果音が入っているのでマーカーで書いた字とパワーポイントで出てくる字の位置が合うと、なぜか大盛り上がりします。また、十円玉10枚が百円玉1枚に変わる場面を「両替」と呼んで誘い水を撒くと、これも子供たちが声を上げて数えて何だか盛り上がります。

最後に筆算が一通り終わったらスマイルのイラストのスライドが出るので、「ニコちゃーん」と言ってあげると、これもまた盛り上がります。適宜イラストは変えて下さい。イラストを「クマちゃーん」とか「ネコちゃーん」に変えてもウケます()。本筋とは全く関係ないのですが、こうした小技で単調な授業を乗り切るのもよいと思います。

 「ニコちゃーん」

「ニコニコちゃーん」

引き算の時には、例えば「65-9」であれば、

T「5から9はひけまーーーー」
C
「せん!」
T
「引けませんからどこから借りる?○○さん?」
○○
さん「6から引きます」
T
66でもーーーーろく・・・」
C「じゅう!」
T
60から10を借りて、両替しまーす」(パワーポイントを動かす)
C
「いち、にい、さん、・・・じゅう!」

こんな調子で、パワーポイントを動かしながら教師や子供が口を挟みながら進めます。こんなにしょーもないことで盛り上がれるのは2年生のかわいい所です。(※ 盛り上がるかどうかは、クラスの雰囲気にもよります)

ちょっと子供騙しのような感じですが、なんだか楽しく学習が進んで子供たちが算数を好きになるのであれば、それは儲けものだと思います。

ノートに書かせるのは後でいい

 筆算の学習でノート指導までしようとすると、書くことが苦手な子供に手間取り、なかなか前に進みません。黒板に46-32を筆算で書いて、それをノートに写してやらせてみる・・・といった進め方は悪手だと思います。写す能力に個人差があり、計算が苦手な子供は写すのが遅くて雑な場合も多いです。それでは苦手な子供が浮かばれません。どんどん落ちこぼされていきます。
ノートに書かせるのはずっと後、何度もプリントをやってしっかり手順を覚えてからでよいと思います。

繰り返しが大事

 ノートは最後に指導すると割り切って、プリントにすでに筆算が書かれているものを使いましょう。自前で作るのはたいへんなので、教材を共有しておきます。下のリンク先よりダウンロードして下さい。

2年生~5年生を網羅した筆算プリントF

また、このプリントの意図については、下のリンク先記事をご参照ください。

小学校で習う筆算(2年生~5年生)を網羅、手軽に使えるミニプリント【教材】 | EDUPEDIA

パワーポイントと同様に、筆算の各パターンを11枚、スモールステップにして出題しています。プリント1枚に1つの新しい要素しか盛り込んでいません。問題数が少ないので、出来る子供はあっという間にできてしまいます。2年生の筆算の要素をすべて網羅しています。

できた子供には次の課題をさせてあげればいいと思います。私は、計算ドリルや漢字ドリル等の宿題をやってもいいことにしています。GIGA端末でちょっと知的なパズルをさせてあげてもいいと思います。

苦手な子供も、問題数が少ないとそれほど負担に感じずに1枚のプリントを頑張り通すことができます。教師側も、問題数が少ないので丸付けが楽です。答えをほぼ暗記できるので、出来たら列を作って並ばせてもなんとかこなせます。授業で一人一人に丸付けをする技術は下記リンク先の記事をご参照ください。

答え合わせをスピーディーに ~プロ教師の仕事術 | EDUPEDIA

 授業中に全員に指導をやりきることが理想ですが、出来なかった子供のプリントは集めて、休み時間や放課後に残してできるまでやらせてしまいましょう。「罰則」のムードにならないように、できたら大いにほめてあげて花丸でもつけてあげるといいと思います。

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