サッカー全員シュート(全員得点)達成への道

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作成者: matsui (Edupedia編集部)さん

今まで、サッカーに関してEDUPEDIAにいくつかの記事をあげてきたものを、リンクをつけながらまとめてみます。

この記事を書いた次の年には、全員得点が達成できたので、

サッカー全員シュート(全員得点)達成への道2

も、是非、ご参照ください。

サッカーで全員得点は可能か?

サッカーは足を使うという点で、小学生にとっては技術の習得が難しいスポーツであると思います。クラブチームに入って技術を習得している児童とそうでない児童のレベルの差が大きいことも、学校の授業で扱う場合に難しい要素になってしまいます。

授業のサッカーでよく見られるのが、ゴール前で立ちんぼうになるサッカー、団子状態になるサッカー、もめごとの多いサッカー。

その中でも厄介なのが「団子状態」です。

ボールの近くに何となく集まってしまい、ボールの動く距離が短くなり、ますます団子が大きくなるパターンです。経験者がボールをキープしても、パスを出す相手がおらず、試合になりません。


もうひとつが、苦手な子どもがボーリングのピンのようになってゴール前に並ぶ状況です。下の写真、よく見られる光景です。

作戦タイムを設けチームで話し合いをさせると、経験者が「○○と○□は、ゴール前で守備」と命令してしまい、○○君たちは、寒い中、ほとんど足を動かさずに突っ立ったままという状況に陥ります。

教師の「走れ、広がれ」の声がなかなか伝わりません。

また、点が入りにくいのも難点です。プロの試合、高校や大学の試合を見ても、バスケットボール等に比べて1試合でそれほど点が入るスポーツではありません。従って、「35人で、12時間ほど」という条件で、全員がシュート(外れてもシュートですから、正確に表現すると、全員得点でしょうか?全員ゴールでしょうか?表現上、以下、「全員得点」とします)を成功させることは経験上、かなり難しいように思えます。

人口密度の低い学校で運動場が広ければ、たくさんコートを作り、チームの人数を減らし、ゴールを大きくすれば、全員得点は達成できるかもしれません。極端な話、1対1で同レベルの子どもを対戦させ、大きいゴールを準備し、長時間ゲームをさせておけば、そのうち全員得点達成という事になるでしょう。

そうではなく、35人程度を4チーム、つまり8~9人程度のチームを編成し、あまり広くない2コートで試合をさせるという平均的な条件下で、全員得点達成に挑戦をしてみました。

そもそも、全員シュートが必要なのかどうかという議論もあると思います。「全員得点」を目標に掲げることがサッカーが苦手な子どもへのプレッシャーになるという考え方もあるでしょう。Jリーグであってもレギュラー級の選手が年間でシュートを1本も成功させることなく終わることは少なくありません。ポジションにもよりますし・・・。

ただ、どの子どもにとっても、得点を挙げるという経験は、悪いものではありません。現に、得点を取ったことがきっかけで、それまで半ばあきらめたように足を止めていた子どもの動きが一変して諦めずに走るようになるという現象を目の当たりにしてきました。「小学生のうちに得点を取らしてあげたい。」という、単純な思いでやればいいと思います。

36人中の32人

現在の所、4年生36人中の32人が得点したというのが私の最高記録です(89%)。残りの4人のうちの1人は男子で、十分に得点する力はあったものの、守備に使命と快感を覚え、攻撃に参加することを避けていました。その他の3名については、控え目な性格であるとともに体力的に難しい面もある女の子たちでした。どうしても、走り負けてしまいます。4人とも、他の球技では得点ができており、納得はしていると思います。

本稿ではどうすれば全員得点達成に近付くことができるのかを検証していきたいと思います。小学校での授業における問題・課題とその克服方法を示してみます。ちなみに、私はサッカーに関しては素人です。私本人が得意なわけでもないですし、コーチとして腕を磨いてきたわけでもありません。あくまで、毎年行われる授業の中で、自分なりの改善を重ねてきた過程を示しているだけですので、異論がある方や他の提案がある方は是非コメントや記事提供でお教えください。

たくさんの子どもが得点できるようにするには、何かひとつの要因を押さえればいいわけではありません。算数の計算問題のように、ひとつの解があるのではなく、複合的に絡まる要因のひとつひとつに対する、現実的な解を見出していくことが達成への道であると考えています。(これは、教育という営み全般に言えることかもしれません)

1~までのポイントに対応する記事に対して、に詳しく書いているページのリンクを貼っておきますので、そちらを参照しながらお読みください。

1.カリキュラムについて

小学校体育は時間に限りがある中で行われています。2以降で後述する様な練習を、学校全体のカリキュラムの中で学年を追って
担当する学年までで球技・体育への技術やモチベーションがどれくらい積み上げられ、高められているかという事が達成への大きな要因です。
担任としては1年間を見越して指導を考える必要があります。
特に、体育授業の初期でサッカーボールを触らせることは大切だと思います。
練習の「時間」だけではなく、「期間」を長く確保することによって、醸成される部分があります。早い時期に始めることによって学校が終わった後などにもサッカーを練習する機会が生まれるかもしれません。

2.他の球技でモチベーションを上げておく。

今年度は3学期にサッカーを行う前に、2学期にハンドボールを行いました。非ネット型で体の接触もある球技であるハンドボールをする中で、

(1) ルールを守る

(2)「おいしい動き」を覚える

(3)得点ゲットの快感を覚えさせる

(4)チームの団結を高める

などを目当てにして、「球技へのモチベーション」を高めることを意識しました。

3.何のための体育授業でのサッカーであるかを示す

体育授業の目当てが、「勝つこと」ではなく、「勝ちを通して、互いの力、みんなの力を向上させること」であることを意識づけます。

4.他の球技で技術を上げておく。

ハンドボールであれば、パスアンドランの技術を身につけさせることができます。

「サッカー」パスアンドランが自然と身につくように

5.ボールを蹴る技術の習得について

ボールを蹴ることがサッカー上達への最も大切なポイントです。ところが、ボールをける練習をしなくてもサッカーのゲームがうまくいくと考えているかのような指導をしている教師はけっこういるようです。それは九九を習得させないでわり算の筆算をさせるに等しいです。きちんとボールを蹴るところから指導した方がいいと思います。

コントロールをよく蹴る

「サッカー」インサイドパスの練習

ことと、強く、遠くに蹴る

「サッカー」インステップキックの練習その1

「サッカー」インステップキックの練習その2

という2つの技術を習得させておけば、ゲームが「サッカーらしい形」になり始めます。

6.シュートの技術の習得について

小学生のサッカーで、センターリングを上げて、シュートを打つという流れにはなかなかなりません。こぼれ球を押しこむのが多いパターンだと思います。もうひとつが、前線に送られた球に追いついてシュートです。技術のある子どもが中盤にいる状況を作った時(5で記述します)、前線にいる子どもにボールを流す展開が可能になります。その時のために、追っかけシュートを練習する必要があります。

「サッカー」たくさんの子供がシュートを決められるように

いずれにしても、味方がボールを持っているときは、ゴールを目指して心も体も動くという本能的な反応を育てておく必要があると思います。

7.団子状態からの脱却

がんばるだけで理解できていない時や、基本的な技術が身についていない時には、ボールの後を何となく追って団子状態になってしまう状態がよく見られます。教師が「くっつくな、広がれ!」といくら声を張り上げても、なかなかこの状況を解消できません。

サッカーの試合が団子状態にならないように

8.ルールの変形について

小学校の授業でサッカーの公式ルール通りに試合する必要はありません。適宜、ルールは変形すればいいと思います。

「サッカー」みんなが楽しめるローカルルール

ローカルルールの中でも特に子供たちに有効に働くのが下記のリンク先の記事です。

「サッカー」スローインマンを置く

9.モチベーションの向上について

前述しましたように、サッカー以前の「得点ゲットの快感を覚えさせる」ことは、サッカーにおいても点を取りに行こうとする姿勢を産み出します。混合型(非ネット型)の球技をサッカーの前に行い、そこで全員シュートを達成しておくと、モチベーションが上がります。

また、ハイタッチを習慣づけることも効果があります。得点をした時には、「チームの誰か一人とハイタッチをした後、先生を探してハイタッチをしてから、得点板に得点を入れに行きます」というルールを作りました。これがなかなかよかったです。得点シーンを見ていなくても、ハイタッチに来ることが、教師への得点の知らせになります。また、ほめるのが苦手な私も、ハイタッチをすることで言葉ではなく、体で喜びをしめすことができます。

10.設備の条件について

運動場が広い方が、走力がある子どもにとってスペースができるので、シュートのチャンスは広がるでしょう。運動場が狭いのであれば、縦パスが通ってカウンター攻撃が生まれやすい縦長のコートを用意しましょう。

また、ゴールが増やせるのであれば、増やした方が、単純に得点機会が増えます。

全員得点達成はできなかったけれど・・・

2学期にやったハンドボールでは唯一得点ができなかったKさんが、サッカーではけっこう早い時期にシュートを決めました。Kさんはどちらかというと控え目で人に対してやさしい子どもです。非ネット型球技の荒々しい世界には積極的ではありません。そんなKさんがちょっと照れたようにして私の所までハイタッチをしにやってきた時は、本当に嬉しかったです。「サッカー」で全員得点は達成できなかったけれど、「球技で全員得点」は達成できました。

Y君とW君はいつも喧嘩になってしまう2人です。W君がなかなかシュートが決まりませんでした。途中、足が止まりかけたこともあったけれど、声をかけるとまた前線へと走り出すW君。

最後の試合の日の時間終了間際に31人目にシュートを決めたのはW君で、そこに一番に駆け寄ってハイタッチをしに来たのは、Y君でした(スラムダンクみたいです)。

全員得点を目標とすることに関する是非

3学期にサッカーをするまでに、子ども達は他の球技、他の体育の授業、他の教科でたくさんの挫折と克服を経験してきています。積み重ねれば、いつかできるという事がわかっているので、得点できない子どももそれほど悔やむことはありません。それぞれに課題があり、それぞれの克服があることによって、少々の失敗は笑い飛ばしてしまえる強さが身についてきます。そして、みんなで助け合い、支え合う雰囲気が生まれてきていれば、できない子どもが馬鹿にされたり責められたりすることも少なくなります。

もし、できない子どもにプレッシャーになるようでしたら、子どもには全員得点達成のアナウンスを控えるようにし、あと何人で全員得点になるとかならないとかに対して言及もしなければよいと思います。それでも、教師側としては誰がどのくらいの得点を入れているかを把握しておく必要があると思います。漠然と記憶に残して評価をとるではなく、きちんとした数値を記録しデータとして残すことで、今後の改善点が見えてくることもあると思います。

※ 近年に受け持ったクラスのことをかいていますので、数や登場人物は実際の状況を曲げない程度にややデフォルメして書いています。

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