九九の暗唱が苦手な子供をサポートするプリント ~ゆっくり楽に確実に【教材】

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作成者:matui hiroshi (Edupedia編集部)さん

九九が憶えられない!


九九を暗唱させるにはどうすればいいのでしょう?なかなか九九が全部言えない子供がいて、焦ってしまうことはありませんか?
「もう、九九の単元が終わってしまう。」
「もう、2学期が終わってしまう。」
「もう、2年生が終わってしまう。」
・・・子供も、親も、担任も、辛いですね。子供も、親も、担任も、どうすれば上手くいくかわからないままただ困っているというのは不幸です。不思議なことに、というか、おかしなことに、教科書にも、指導書にも、九九をどうやったら暗唱できるようになるのか書かれていません。九九の暗唱についてきちんと語ることができる教師は少なからずいますし、「まあそのうちできるでしょう」という諦念の方向に走る教師も少なくありません。「努力と根性」という精神主義でただ子供を追い詰める教師も少なくありません。自分たち教師がわかっていないまま、子供や親に「家で憶えてきなさい」というのはおかしな話です。
この記事でご紹介しているプリントは、けっこうな確度で九九が暗唱できるようになる教材です。手順がはっきりさせ、どの教師にも、親にも、実践可能な形に落とし込んだつもりです。下記リンク先もご参照ください。
誰にでも、簡単にでき、効果のある教育実践 ~教師の資質や負担に依存しない「点数を稼げる実践」を

「本当に覚えられない子供もいる」という理解は必要だと思います。できない事は、できないのですから、できないことに拘って何度も嫌な思いをさせるのは間違えていると思います。「ゆっくりなら言えるけれど、滑舌が悪いため『15秒』などと指定されてもプレッシャーがかかってしまって言えない」「発達に課題があり、10歳ぐらいにならないと九九を暗記するだけのレディネスが形成されない」など、ケースバイケースで対応策を講じる必要があります。

指導法が合っていない?


一方で、「本当は覚えられるのに指導の方法が合わなくて覚えられない子供もいる」というケースもあります。
教師は個々の子供が、「覚えられるのか、覚えられないのか」「覚えられるのであればどのような『機序』で覚えさせられるのか」を見極めなくてはなりません。

九九を覚えられない子供はたいていの場合、次の3つのうちのどれか、あるいは全てが当てはまると思います。
① 機械的な暗記が苦手
② 自分で練習する気にならない、練習する習慣や環境がない
③ 家庭のサポートを受けられない

私が今から述べるのは、九九を覚えさせる方法(教材)のひとつでしかありません。「おそらく、多くの子供が時間をかければこれで覚えられるだろう」という手ごたえは得ていますが、全ての子供にフィットしてヒットする手法とは言い切れません。今までにも様々な手法が開発されてきているので、ググって色々と試してみて下さい。
担任も保護者も、なかなか憶えられない子供に苛立ちがつのって、つい強くあたってしまうことがあるようです。本来は学校で九九を憶えさせなければいけないのですが、時間的に学校だけではなかなか難しくて家庭の協力を得ているのが現状です。指導方法を示さずに家庭に依頼してしまうと、保護者だって困ってしまいます。7のだんが言えるようになるまで冬空の下、家の外に出されて鍵を閉められ、泣きながら憶えたと言っていた子供もいました。憶えさせ方さえわかっていれば、そんなつらい目にあうこともなかったろうに・・・

スモールステップで、ゆっくり


スモールステップで練習ができるように、B5で1枚のプリントにまとめてみました。かなり多くの九九の暗唱が苦手な子供にフィットする方法ではないかと自負しています。
① 式&答=ふりがなあり ② 式&答=ふりがななし ③ 式=ふりがなあり&答=なし ④ 式=ふりがななし&答=なし ⑤ 式=かける数のみでふりがななし&答=なし ⑥ 指を折ってかける数を確かめながら言う ⑦ 暗唱する
これを5回ずつ練習させます。③がうまくできなければ、②に戻るように指示します。


このプリントのダウンロードはこちらから → 
九九を少しずつ、しっかり憶えよう.xlsx
B5の紙は色画用紙に貼っていき、ルールをその裏面に印刷して保護者にも伝えます。
このプリント活用の留意点として、次に8つのポイントを挙げてみます。

1.時間がないことを念頭に。→→→ 2年生にとって九九の暗唱は大切な学習の一つではありますが、やらなければならない事は九九の暗唱だけではありません。ここにリソース(時間・人)を費やしすぎては失敗します。教師が個々の子供に付き合ってこのプリントをやっていくのは無理です。
2.最初から全員には与えない。→→→ クラスの60%ぐらい(目安です)はこのプリントがなくても自力で(家庭のサポートを受けながら)九九が言えるようになりますので、この層の子供たちは自主性に任せておけばよいと思います。2・3・5の段は比較的楽に憶えられますし、自分であれこれ憶え方を考えるのも学習のひとつです。また、学校で習う前から暗唱ができている子供もいますし、こんなに繰り返しやらなくても憶えられる子供もいます。そんな子供たちにとってこの方法は過剰です。下のリンク先で述べている方法で十分に憶えられると思います。
九九暗唱の鍛え方・九九の聞き方 ~全員が九九を言えるように
3.友達同士で聞き合いをさせて、サインをさせるのは良いが、15秒で言えるようになっているかどうかは教師が確認する。→→→ 最終的には教師が確認し、子供と喜びを共有しましょう。
4.一気に全部与えない。→→→ 一気に与えると気が萎える子供がいます。1つ段をクリアするごとに、1枚渡すようにしましょう。
5.①~⑦全ての過程に付き合おうとしない。→→→ ①~⑦全てに付き合うと1つの段だけでも1人に対して20分近くかかってしまう事になります。これでは教師のキャパオーバーになってしまいます。そこで、②までできている子供には、③だけを付き合います。それなら、2分ほどで済みます。
6.できたらGOODでも書いて、オーバーにほめる。→→→ ③だけできたら、その時にオーバーに褒めましょう。「できた、できた、③ができたのだから大丈夫。④もいけるから。家で④から先をやっておいでね。また聞かせてね。」と、あくまで家でやって来ることを前提に進めましょう。
7.憶えられない・家でやってこないことに対してプレッシャーをかけすぎない。→→→ ここまでしても、憶えるのが遅い子供はいますし、家ではちっともやってこないでサインをもらってこない子供もいます。家でやってこないのは、子供自身がルーズである場合もありますし、家庭環境がその子供をサポートする状況でない場合もあります。だからと言って、教師がずっと練習に付き合う時間もありませんので、自力では何もやらずに平然としている子供には正直腹が立ってきます。しかし、プレッシャーをかけ過ぎると余計に九九嫌いが激しくなる場合もあります。プレッシャーをかけるにしても、塩梅が大切だと思います。
8.記録をとる。→→→ 必ず、1週間に1度は記録を取りながら、進徳状況を確かめましょう。それが、教師自身の振り返りになります。下記の「さて、成果は?!」では、このプリントを渡すのを九九暗唱開始から1カ月後にしたケースについて述べています。この結果を見ると、合格が遅れている子供にはもっと早い時点、スタートから2週間後ぐらいに渡してあげた方がよかったと反省しています。こんなに成果があるなら、無駄に苦しませる必要はなかったと思っています。最初から全員に配ってしまうのも「あり」の様にも思えてきていますが、どうなんでしょう・・・。 
9.ミニ先生に聞いてもらう。→→→ ここまで手順を明らかにしてプリントを配って声かけをしても自分でやらない子供は家ではやってきません。かと言ってこれだけ細かいステップ全部に教師が付き合う事は不可能です。そこで、ミニ先生を作って聞いてもらいます。ミニ先生はすでに九九の暗唱を合格した子供や、3~6年生までの兄弟学級のお兄さん・お姉さんでもいいと思います。朝の時間帯や休み時間・放課後にマンツーマンでついてもらって1つのステップができるまで特訓してもらいましょう。 

さて、成果は?!


ある年にこのプリントを使って指導した際の記録です。数字は多方面に配慮して、実態と大きな齟齬がない程度に改変して記載しています。
① 2年8組35名。10月の終わりぐらいに5の段から始めて、1カ月近くをかけて9の段まで学習を終わらせました。
② その間にゆっくりと15秒で言えることを確認して、九九カードにシールを貼っていきました。自分でやって来る子供は、ほとんど10秒で言えるように頑張ってきました。
③ 合格が遅れている子供が出てきているのは分かっていましたが、あまり関与せずに(叱責もせず、強く促さず)、自分で頑張ってくる子供だけが合格する事を先に進めました。
そんな調子で、5の段暗唱開始からほぼ1か月経った11/29以降の記録を見ていただきましょう。表は、35名中、各段まで合格完了した児童の数を表しています。

④ 筆者は諸所の事情により1か月ほどは九九の暗唱を聞いてあげる時間を持てなかったため、合否の検定を意図的にゆっくり進めました。11/29の時点でもまだ8・9の段は聞いてあげていませんでした。9まで解禁すると12/7には合格者が急増。6・7の段という難関を突破すると終わりが見えてくるためか、約1週間で、9の段まで合格しました。すでに解禁前に9の段ができている子供がたくさんいたのですが、渋滞が発生して十分に合格を出せなかったことで遅れがちになり、焦っていました。
ここまでは、下記リンクの先の方法で暗唱の練習をさせていました。
九九暗唱の鍛え方・九九の聞き方 ~全員が九九を言えるように
⑤ 12/7の時点で残っていた子供たち19名のうち、遅れがちであった17名にこの記事で紹介している超スモールステップのプリントを渡しました。
⑥ すると1週間後の、12/14までに10名が完全合格となりました。悠長に構えていた子供にスイッチが入り、この教材の効果も表れてきたのだと思われます。
⑦ 残りの9名は正直なところかなり厳しいメンバーでした。「憶えることが苦手、かつ家庭のサポートも薄い」子供ばかりです。そこで、なるべく筆者が寄り添って聞いてあげることにしました。とは言っても、1日に1人2~3分程度です。毎日2~3分付き合っては「できた、できた、③ができたのだから大丈夫。④もいけるから。家で④から先をやっておいでね。また聞かせてね。」と、家庭でやって来ることを促すことを繰り返しました。
⑧ こうして対面で付き合ってあげると、1週間で完全合格がさらに7名増え、残りは2名になりました。
⑨ 最後の2名も年が明けて1/11までに完全合格を果たしています。

このプリントの良い所は、
● スモールステップで繰り返して自力で取り組むことが簡単にできる。
● そのため、教師の負担が少ない。
● 本人・家庭のやる気スイッチをONにして、モチベーションを保つことができる。
の3点でしょう。

子供・家庭にとっても教師にとっても、楽で楽しい九九の暗唱。是非、一度お試しください。

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