新年度準備、4月~5月の学級経営

63
目次

過度に忙しい4月

繁忙期である年度末が終わるや否や始まる新年度。体が疲れ、頭の中が混乱したままの状態で新しいクラスや校務分掌が発表され、いっぱいっぱいで始まるのは苦しいですね。異動して新しい環境で働く教員、とりわけ初任の教員は、矢継ぎ早に降りかかってくる業務に対応しきれないかもしれません。年度当初に対応不可能なレベルで過剰になる業務に関する問題は、制度的に見直すことが必要な気がします。コロナ禍で9月に新学期を始める「9月入学案」が議論されたこともありましたが、残念なことに見送られることになりました。

「9月入学案」のような行政レベルの改革は難しいにしても、現場でできる年度当初の多忙の緩和策はいくらかあると思います。「多すぎる配布物をマストな書類だけに限定し、数日に分けて配布する」「当面、五十音順で整列し、身長順に並ぶのはずっと後にする(私は年間において、身長順では並ばせません)」「4月の朝会はテレビ放送で」「地区別の活動、委員会やクラブ活動を当面立ち上げない」などの工夫を提案して実現しましょう。また、個々人でもすぐに取り掛からねばならない事と後回しにできることを仕分けして、やるべきことに集中しましょう。特に学級経営は喫緊の課題であり、これを優先することによって、ゆとりを持って新しい年をスタートできるようにしたいものです。

4月は1年間の成否を決める、大切な時期です。4・5月に打った施策の良し悪しが、年度の後半にボクシングのボディーブローのように効いてきます。TOSSの向山洋一氏が提唱されている「黄金の3日間」を是非検索して、あるいは書籍を購入して読んでみてください。向山氏は始業式からの3日間を「黄金の」と表現されており、最初が大事、先手必勝は教室に於いても間違いのない事実です。そこで打つべき「手」は詳細に研究され、TOSSの方々によって説明されています。

時間は限られている

子供たちに伝えたいこと・準備をしておくべきことは山ほどあるのに、時間は限られています。優先順位を決めて、やるべきことをしっかりとリストアップして履行してゆきましょう。
リストアップができたら、優先順位を決めて確実に履行してゆきます。緊急度の高い仕事は何か、早いうちにクラスの中でルール設定しておかなくては何なのかを考えましょう。

①何を準備し、

②どんなルールを打ち立て、
③児童生徒に対してどんな「掴み」を企てるか。

逆に言うと、少し後(5月以降)でもできることは何なのかも考えておきます。1年を通して繰り返し必要とされる仕事・ルール設定が何なのかを見抜きます。ルーチン化してしまえば子供も、教師も、ずーーーっと楽なことがあります。繰り返して行われる作業のインフラ整備をしておくのです。

EDUPEDIAには、たくさんの「学級開き」に関する記事が掲載されています。サイト内検索やタグのクリックをしてみてください。リンク先を是非ご参照ください。また、1年間を通して仕組んでいきたい取り組み(後編)も下記のリンクに記述していますので、あわせてお読みください↓↓↓。

1年を見通した学級経営 ~戦略的学級経営 | EDUPEDIA

以下、EDUPEDIAに掲載されている学級開き関連の記事からいくつかをピックアップして、簡単に解説をつけておきます。

年度当初にやっておくべきことのリストアップ・年間を通してやっておくべきことのリストアップ(準備の準備)

学級びらきチェックリスト | EDUPEDIA

教えておくと便利な40の生活ルール | EDUPEDIA

まず、近々にやるべきことと、5月中旬ぐらいまでにやっておくべきことをリスト化しましょう。余裕があれば年間にやっておくべきことも。あまり何もかもを急いでやろうとすると、教師も子供も消化不良を起こします。確実な履行を目指すとともに、ペース配分も考えて!下の記事からリストをダウンロードをして、自分用にカスタマイズ、毎年アップデートしてください。


時数カウンター(教育課程)【教育事務ファイル】 | EDUPEDIA

複雑化する時間割・行事。時数カウンターにざっと時間割を入れると、年間の時間割が入った帳面も印刷できます。機能的な帳面は年間の業務をスムーズに履行するためのマストアイテムです。




新年度準備ファイル群 ~教室掲示等、このファイル群があれば、新年度の混乱を緩和できる!【教育事務ファイル】 | EDUPEDIA

教室の掲示物に時間を取られてしまうのは勿体ない。できれば学年や学校でこの業務を誰かが受け持ってあげるといいですね。私は毎年、時間割などを学年スタッフに提供しています。(小規模校なら全クラス)

小学校に於いて漢字の習熟は欠かすことができない学習の一つです。4月当初に1学期分を作成して刷ってしまえば、あとはルーチン化して成績を伸ばすことができます。この他にも、自習の時間や「ちょっと今、時間が欲しい!!」という局面で使えるプリントを早いうちにたくさん印刷しておいて溜め込んでおけば、後々助かります。

繰り返し漢字テスト【教材】 | EDUPEDIA

買っておくと便利なものがあります。できれば学校予算で買ってほしいですが、学校にないなら、百均で買える程度のモノは、ポケットマネーで購入してしまいましょう。

百均ショップは教育に役立つグッズの宝庫 | EDUPEDIA

例えば、上の画像はダイソー(百均ショップ)で買ったB4が入るかごです(※300円)。たいへん重宝しています。

ルール説明

年度当初はたくさんルール説明をしなければなりません。折に触れて話せばいいことも、早急に話さなければならない事もあります。
最近の子供は前の担任のルールで、自分達に都合がいいものに関しては「昨年はこうだった」「○○先生はこうだった」と、主張をします。逆に都合が悪い者に関しては「それは○○先生との契約です」とばかりに簡単に今までの担任が築き上げてきたルールを勝手にリセットしてしまいます。学年・クラスの様子によっては簡単でもいいので、今年度のルールを説明し、新しい担任である自分と新しいクラスとの契約の更新をやり直さなければなりません。

例えば、6年に対しても、年度当初に教科書を配る時には、「教科書は表紙の所に折り目がついているでしょ。名前を書いたら折り目の所まできちんと開きなさい」という指示を通します。6年生なら1冊だけでいいのです。1年生なら全部の教科書を。子供も教師も「そんなのできて当然」と思う事でも、小事を徹底することで、クラスが引き締まってきます。

子供は教師を値踏みする | EDUPEDIA

子供たちは新しい担任の出方を見ながら、値踏みしてきます。スキがあれば子供たちがグイグイとルールを崩してくるパターンが続いてきます(学級崩壊現象が顕著になり始めた頃からずっとです)。こちらの出方次第では、無法状態に陥ってしまう場合もあるでしょう。


掃除を「子どもを伸ばす場」に (岡 篤先生) | EDUPEDIA

掃除を「子どもを伸ばす場」に 2 | EDUPEDIA

掃除は毎日することなので、ルール確認を急いだほうがいいですが、細かいことを言い出すと時間がかかります。2週間ぐらいは子供たちに任せて、頑張っている子供を褒めてあげながら少しずつ説明していけばいいと思います。

小学生の言葉遣い指導~乱暴な言葉遣いを減らすには?~ | EDUPEDIA

「言葉に関するルール」は、早いうちに設定しておいた方が良いルールは、だと思います。言葉を荒らさなければ、クラスの荒れが抑えられると思います。

忘れ物を減らすために1 | EDUPEDIA

忘れ物を減らすために2 ~朝、児童が自分の机の上に置く | EDUPEDIA

忘れ物はチェックするのも、されるのも、しんどいです。効率よく、負担が少ない方法を色々と考えてみました。

提出物・プリントは向きを揃えて美しく置く ~配布・回収を手際よく | EDUPEDIA

単なる提出物の出し方だけでも、ずっと褒め続ける事ができます。
こんなことでも、最初のルール作りをきっちりやると、気持ちのいい教室環境と叱らずに褒められるルーチンが出来上がります。



あれやこれやとルール説明したり準備をしたりばかりしていると、教師もだんだん疲れてきます。それほど急がなくてもいい事も多いと思いますので、一通りの業務が落ち着いた5月中旬あたりに見直してゆけばいいと思います。

叱る場面を理解させ、褒めるルーチンを作る

早いうちに、「褒める」「叱る」の両方が大事です。特に褒める方は、年間を通して褒め続けられるように、初期設定をしておきましょう。


「ほめる」を記録・明示する(ビー玉貯金) | EDUPEDIA

褒めた時にペットボトルにビー玉を入れていきます。褒めることを忘れがちになるので、教師の備忘のためにも。




叱ることは難しい ~子どもを叱る基準や叱り方 | EDUPEDIA

叱る場合に自分の中に、いくつかのルールを持っていると、険悪な状態になりにくいです。

叱る・褒めるは年間を通して、学級経営の中で重要なポイントです。EDUPEDIAにもたくさんの関連記事がありますので、ご参照ください。
ただ、何をやるにしても、クラスのメンバーの状況をよく観察して、どういう出方をするべきか1年を戦略的に捉え、戦術を投入する4月をどう乗り切るかは、とても重要なポイントです。


長なわ8の字連続跳び~クラス全員成功へ | EDUPEDIA

私は長縄や群読を最初の段階で施策として打ち出します。それほど時間がかからず、そこそこの成果が得られるからです。

データをとってほめる材料に | EDUPEDIA

何か取り組みをする際に、必ず初期段階でのデータを取っておきましょう。データを取って子供たちの変化を把握することで、子供たちは「伸び」を褒められる事になるし、教師も伸ばしたことを実感してモチベーションが上がります。懇談や通知表で保護者に数値で子供(たち)の伸びを伝えることでも威力を発揮します。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次