授業に使える地域資料を探す方法・近畿編~地域学習に役立つ郷土のデジタルアーカイブ集~

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目次

1 地域の資料を探すならデジタルアーカイブ!

「ふるさとについて学習するときの資料を探している」

「郷土の伝統文化について学ぶために昔の写真を使いたい」

「地元の災害について学習するときに実際の写真を紹介したい」

「歴史の授業で扱う時代、地元はどんな様子だったか見せたい」

「ふるさとの昔の様子を知るために古地図を手がかりにしたい」

日本全般について学ぶなら教科書に載っている資料を使えますが、地元についての資料となると教科書にはなかなか載っていないものです。

ところが図書館等が提供しているデジタルアーカイブを利用すると、いつでもどこでも地域の資料を入手することができます。今回のシリーズ企画では、無料で利用できるデジタルアーカイブの例を地域ごとにご紹介します。本記事は近畿地方編です。

写真や絵図、地図などといった地域についての資料は、地域についての学習の際にはもちろん、普段の学習の際にも学びへの動機づけとして利用することが可能です。ぜひご活用ください。

<関連記事>
他の地域のデジタルアーカイブについては以下の記事をご覧ください。
北海道・東北編
・関東編(準備中)
中部編
中国・四国編
九州・沖縄編

なお、本記事に添付している画像はすべてクリエイティブ・コモンズ・ライセンスや提供館の利用規約に則って利用しています。また、掲載しているのは2021年2月時点の情報です。

2 三重県の地域資料を探すなら

 〇三重県立図書館「デジタルライブラリー」

三重県立図書館が所蔵している貴重書がデジタル化され公開されています。資料は「哲学」「歴史」など日本十進分類法のカテゴリで一覧にされているほか、キーワードや発行年等から詳細検索も可能です。

※図書館トップページ(http://www.library.pref.mie.lg.jp/)>活用する>地域資料コーナー>デジタルライブラリー

<閲覧できるデジタル資料の例>

「三重県実測図」
1903年(明治36年)に古川書房から発行された三重県の地図です。地名が細かく記入されており、現在の地図を用意して見比べることも可能です。
「訂正再版 新撰 三重縣地誌 全全」
1892年(明治25年)に発行された小学校用教科書です。三重県内の各地域の地勢、気候、名産品、風俗などについて平易な文で説明されており、挿絵も多く掲載されています。
「御定目(伝「三井家御定目」)」
1749年(寛延2年)に作成された、商店の「定目(経営方針・服務規定集)」です。呉服店大丸屋(現・大丸)のものと推定されており、松坂出身の豪商三井高利の思想が影響されているとされています。

3 滋賀県の地域資料を探すなら

 〇滋賀県立図書館「近江デジタル歴史街道」

滋賀県立図書館が所蔵している貴重資料がデジタル化され公開されています。キーワード、資料種別、地域による検索が可能であるほか、「デジタルアルバム帖」としてトピックごとにまとめられた資料を閲覧することも可能です。

※図書館トップページ(http://www.shiga-pref-library.jp/)>近江デジタル歴史街道

<閲覧できるデジタル資料の例>

「近江八景/石山秋月[いしやまのしゅうげつ]」
安藤広重が1834年(天保5年)ごろに描いた、月の石山寺の浮世絵です。「近江デジタル歴史街道」にはこのほかにも「瀬田夕照」「粟津晴嵐」など広重が描いた「近江八景」の画像が公開されています。
「近江百人一首[かるた]」
村岡顕美氏が挿絵を描き、滋賀県教育委員会が1993年(平成5年)に発行した「近江百人一首」のかるたの画像です。柿本人麿、紫式部などの歌人の和歌が選定されています。
「滋賀県管下近江国六郡物産図説/明治初頭の農村風景」
明治政府が万国博覧会を前に全国で行った物産調査のうち、滋賀県のものを記録した図説です。「水口かんぴょう」「中野村煙草」「朝宮茶」などの生産風景が描かれています。

※詳細な画像の閲覧にはDjVuBrowserPlug-inのインストールが必要です。

※Microsoft Edge等のブラウザは使用できませんので、Internet Explorer、Google Chrome等のブラウザをご利用ください。

4 京都府の地域資料を探すなら

 〇京都府立京都学・歴彩館「京の記憶アーカイブ」

京都府立京都学・歴彩館が所蔵するさまざまな資料を閲覧できるアーカイブです。フリーワードによる検索のほか、「古文書」「行政文書」「写真資料」など細かな資料種別によってソートすることも可能です。

※京の記憶アーカイブ(http://www.archives.kyoto.jp/

<閲覧できるデジタル資料の例>

「南山城災害写真帳 : 昭和28年8月15日」
木津川の氾濫など、災害の様子を京都府が撮影して記録した写真帳です。「古典籍・図書目録」のカテゴリに収録されています。
「石井行昌撮影写真資料 市電(堀川丸太町)」
1912年(明治45年)に撮影された、壬生車庫前行きの市電の様子です。電車や街並み、人々の装いなどが見て取れます。「写真資料群目録」のカテゴリに収録されています。
「京都名所十景」
江戸時代に安藤広重が描いた「京都名所十景」が、1918年(大正7年)に風俗絵巻図画刊行会によって出版されたものです。四条河原町や嵐山などの風景が確認できます。「古典籍・図書目録」のカテゴリに収録されています。

京都府立京都学・歴彩館所蔵「京都名所十景」CC BY 2.1 JP

5 大阪府の地域資料を探すなら

 〇大阪府立図書館「おおさかeコレクション」

大阪府立図書館が提供しているデジタルアーカイブです。「錦絵にみる大阪の風景」「中之島図書館人魚洞文庫」「中之島図書館浄瑠璃本」などのカテゴリごとに資料を検索・閲覧できるほか、コレクション全体のキーワード検索や詳細検索も可能です。

※図書館トップページ(http://www.library.pref.osaka.jp/)>大阪府立中央図書館または大阪府立中之島図書館>おおさかeコレクション

<閲覧できるデジタル資料の例>

「大阪府鉄道寮」
1874年(明治7年)に完成した初代の大阪駅の様子が描かれた錦絵です。文明開化の一端を読み取ることができます。
「川崎造幣局の図」
1871年(明治4年)に北区に開場した造幣局が描かれた錦絵です。西洋式の建造物の様子を確認できます。
「今宮心中」
江戸時代に近松門左衛門が著し大阪で出版された浄瑠璃本です。

6 兵庫県の地域資料を探すなら

 〇「神戸大学附属図書館デジタルアーカイブ」

「震災文庫」「新聞記事文庫」「住田文庫」「稀覯書・貴重書」など数多くのデジタルアーカイブが公開されています。それぞれのアーカイブにてフリーワード検索や閲覧ができるほか、アーカイブ全体を横断して検索することも可能です。

※図書館トップページ(https://lib.kobe-u.ac.jp/)>コレクション>デジタルアーカイブ

<閲覧できるデジタル資料の例>

「兵神市街之図」
「神戸区」が設置された翌年(1880年)の地図です。「住田文庫」あるいは「稀覯書・貴重書」のカテゴリの「神戸関係の資料と地図」に掲載されています。
「日本版古海図 第150号 昭和9年8月13日印刷発行」
旧日本帝国海軍の測量によって作成された、大阪湾付近の海図です。神戸高等商業学校の位置も掲載されています。「稀覯書・貴重書」のカテゴリの「神戸高等商業学校、神戸高等商船学校及び東京高等商船学校記載の古海図」にて閲覧できます。
「崩れた国道43号岩屋高架橋から落ちたトラック。」
阪神淡路大震災の際に撮影された写真です。「震災文庫」内で公開されています。

「崩れた国道43号岩屋高架橋から落ちたトラック。」撮影:前田耕作 提供:神戸大学附属図書館 震災文庫 CC BY-ND 4.0

7 奈良県の地域資料を探すなら

 〇奈良県立図書情報館「まほろばデジタルライブラリー」

奈良県立図書情報館が提供しているデジタルアーカイブです。「公文書-簿冊」「古文書-文書」「絵図」「ふるさとコレクション」というカテゴリごとに資料を閲覧できるほか、キーワード等による詳細検索も可能です。なお、奈良県立図書情報館は「まほろばデジタルライブラリー」に加えて「奈良県文化材建造物保存修理事業撮影写真」の提供も行っています。

※図書情報館トップページ(https://www.library.pref.nara.jp/)>まほろばデジタルライブラリー

<閲覧できるデジタル資料の例>

「興福寺境内図(甲)」
1791年(寛政3年)ごろに作成された興福寺の図です。境内の建物の形や大きさが記されています。
「奈良名勝全図」
1898年(明治31年)に作成された奈良の案内図です。東大寺の南大門や大仏殿、興福寺の五重塔など、現在でも残る奈良の名勝が描かれています。
「薬師寺/薬師寺東塔」
明治時代や昭和時代に修復がなされた際の薬師寺東塔の写真です。「奈良県文化財建造物保存修理事業撮影写真」から閲覧できます。

8 和歌山県の地域資料を探すなら

 〇和歌山大学図書館「地域史料デジタルアーカイブ」

和歌山大学図書館が所蔵している貴重な地域史料が、デジタル化され紹介されています。「絵図一覧」「紀州藩文庫より郷土誌料一覧」「地域歴史資料一覧」とカテゴリごとに史料の画像を閲覧できるほか、一部の史料は翻刻データも併せて公開されています。また、キーワードによる資料の検索も可能です。

※和歌山大学トップページ(https://www.wakayama-u.ac.jp/)>附属機関>学術情報センター(図書館)>地域史料デジタルアーカイブ

<閲覧できるデジタル資料の例>

「高野山細見絵図」
1813年(文化10年)に作成された高野山の絵図です。弘法大師御廟や大塔など、多くの建造物の絵がその名称とともに地図の中に描かれています。
「百姓教訓之趣認候帳」
江戸時代(元禄期ごろ)の紀州藩の農民や庄屋に対する教訓がまとめられた紀州藩文庫の史料です。翻刻データが併せて公開されているため、画像内の原文が読めなくても意味を読み取ることが可能です。
「紀伊国絵図」
江戸時代(文化期ごろ)に作成された紀伊国の絵図です。地形や地名が細かく記入されており、現代の地図を用意して比較することも可能です。

9 地域資料に関する関連記事

他の地域のデジタルアーカイブについては以下の記事をご覧ください。
・北海道・東北編(準備中)
・関東編(準備中)
中部編
中国・四国編
九州・沖縄編

10 編集後記

デジタルアーカイブによって、今まではアクセスが難しかった情報資源へのアクセスの道筋が整えられました。今回ご紹介したデジタルアーカイブが、みなさまの授業作成の一助になれば幸いです。
(文責:EDUPEDIA編集部 津田)

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