総括的評価から形成評価へ重心を移す

68
目次

1 通知票作成に時間がかかり過ぎていませんか?

私は、教師は総括的評価に時間を費やし過ぎていると思っています。それよりも、もっとスピード感のある形成評価を教育の中で生かしていくべきなのではないかと考えています。通知票の電子化につきましては、下記の記事をお読みください。

コンピュータによる通知票の全面的作成

評価・評定をエクセルで「ダイレクト」「確実」に算出する ~ 算出方法について【教育事務ファイル】

何でもかんでもコンピュータで処理するのが合理的でいいと主張しているわけではありません。手書きの温かみや時間をかけることの必要性も十分に理解しているつもりです。それでもなお、通知票はもうコンピュータで処理すればいいのではと思っています。私にとって通知票作成の合理化は、単に時間を生み出そうという目的だけではありません。

そもそも通知票は期末・学年末に成績を渡すという形で「総括的評価」にあたり、教師にとっても子供にとっても指導改善・学習改善につながりにくい評価です。どちらかと言うと、「記念」や「記録」に近いかもしれません。指導改善を目指すには、「形成評価」にもっと時間を割くべきだと思います。評価についてはもっともっと我々は考えていかなければならないと思います。

2 総括評価では十分に子どもを変えられない

例えば、通知票に国語の「聞く・話す力」や算数の「計算の技術」についての評価が低く示されていたとします。観点別評価・評定であったとしても、文章表記であったとしても、学年末にそんなことを評価されてがんばれる児童は、もともと優秀なはずの児童です。

学力不振気味の児童にとっては、何をどうすれば自分を変えていけるのかが分かっていないわけで、悪い評価はほとんどの場合「受けっぱなし」になります。長期休暇で家庭に戻った児童、クラス替えで次の担任の手に渡った児童に教師はどれだけ有効な指導をしてあげることができるでしょうか。がんばらせるならその単元を教えているその時期もしくはその学期もしくはその年度にきちんとがんばらせるべきです。言い換えると、本人が目の前にいる間にがんばらせるべきです。

総括的評価は学力の低い子供にとっては、おのずとネガティブな評価になる傾向があるのではないかと思います。「あなたは、イマイチ」という烙印をボーンと押して終わってしまう結果になりがちのように思えます。そもそも、観点別で算数の「技術」の評価欄に悪い評価がついていても、学力不振気味な子供にとっては「円がうまく描けない」のか、「筆算の成績が悪い」のか、「筆算以前の基本、例えば足し引きができていない」のか、判断はできませんし、処方はさらに思いつかないでしょう。

3 形成評価のメリット

総括評価はどうしても大雑把で詳細説明が不十分な評価になってしまいます。}評価を児童本人にしっかりフィードバックし、ポジティブな方向に持っていこうとするのであればもっと短いスパンで児童の実態を把握し、課題を整理し、改善策を見出すことが必要です。それができるのは、どちらかと言えば「形成評価」だと思います。形成評価は総括的評価に比べてより具体的・即時的と言えると思います。そしてそれはとどのつまり、評価を自分(教師)自身にフィードバックして指導方法の改善に生かすという本来の評価の姿でもあると思います。

評価は高いところから教師が子供に対して下すものであってはならないと思います。教師にとっては、評価は結局のところ自分の指導力を問われるものと考えるべきものだと思います。そういう意味では教師にとって子どもへの評価は自己評価のひとつにあたると考えるべきではないでしょうか。

日本の教育は「形成評価」よりも「総括的評価」に重心を置きがちになっています。形式主義なのかもしれません。作業が重過ぎて、それに捉われ過ぎる「総括的評価」をもっと手早く片付ける必要を感じています。そういう意味でも、私はコンピュータによる成績処理を進めています。

4 形成評価を活かす例

形成評価と、硬い言葉で書きましたが、そんなに難しいことではありません。連絡帳に最近の子供の良かった所、例えば「今日、逆上がりができました!」「友達がミルクこぼした時、雑巾を持ってかけつけてくれました」等を2,3行書いてあげる事だって、十分に有効な形成評価のやり方だと思います。とにかく、子どもと向き合って指導をし、短い期間でPDCAサイクルを回す必要があります。

また、下記の記事に書かれているプリントを授業の終わりにさらっとやってしまうことも形成評価のひとつで、効力を発揮する例だと思いますので、ぜひ、試してみてください。

繰り返し 県名・県庁所在地名テスト【教材】 | EDUPEDIA

繰り返し漢字テスト【教材】 | EDUPEDIA

小学校で習う筆算(2年生~5年生)を網羅、手軽に使えるミニプリント【教材】 | EDUPEDIA

短時間でできて、子どもに結果を返し、つまづきを改善することができます。

形成評価のためにも通知票の電子化を

通知票の電子化で生み出された時間をできれば「形成評価」にも使ってもらえるとうれしいです。評価(形成評価・外部評価etc)がどうあるべきかについて、改めて考えを巡らせる余裕ができてくればうれしいことだと思っています。

校務支援システムの導入と運用 | EDUPEDIA

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次