1 はじめに
本記事は、2019年5月19日に東京大学で開催された五月祭教育フォーラム2019『“教育改革”のその先へ~新時代に求められる人物像とは~』内で行われた、中村伊知哉先生(慶應義塾大学教授)の基調講演、『つくる人になろう』を記事化したものです。
基調講演内で、中村先生は日本の教育を取り巻く状況や自身がつくっている教育についてお話されました。
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2 基調講演
中村先生の仕事
techはIT(インフォメーションテクノロジー)、popはポップカルチャーのことです。
私は、この二つをかけ合わせて、新しい世界を作るということを続けています。
まず、きゃりーぱみゅぱみゅさんと一緒に番組を作りました。これは、漫画、アニメ、ゲーム、ファッション、音楽のような「クールジャパン」を世界に発信するプロジェクトであり、さらにこの番組をネット配信したり衛星放送で海外に発信したりすることでメディアのビジネスモデルが成り立つのかを検証するプロジェクトでもあります。つまり私はプロジェクト屋なのです。
ビジネスでいえば、私は社外取締役をいくつかやっています。吉本興業や、音楽番組専門チャンネルのスペースシャワーなどのような、老舗の企業の改革をするとともに、mixiのようなベンチャー企業を手伝うこともあります。
ただ、本職は社会起業です。コンソーシアムやNPO、公益法人をこれまで20件作ってきました。
CDやDVD、アプリのようなデジタルコンテンツを16本、本は15冊書きました。もうすぐ新しい本も出版する予定です。
「超ヒマ社会」の実現へ
テクノロジーで、世界は変わりましたよね。
たとえば大昔は、物事を表現しようと思ったら洞窟の中で壁に絵を描くことしかできなかったのに、今は誰もがスマホを使って、どこからでも映像で世界に発信できるようになりました。日本に一億の歩くテレビ局ができたようなものです。
他にも、スマホで何でも買えるようになりました。私が毎日着ている着物も楽天で買いましたし、今日ここに来るまで財布は一度も使わず、電車に乗るのもコーヒーや新聞を買うのも全てスマホ決済で済ませました。今後は車もネットでつながって自動運転になりますし、全てのものがネットでつながるIoTの時代がやってきます。
その背景には、AIの進化があります。おそらく既に私よりもスマホの方が賢くなっています。スマホどうしで仕事をさせておけば済んでしまう時代が来るのです。これはIT業界に限った話ではありません。金融も小売も観光も役所も農業も、全部ITとAIで動く世の中になります。
この動きを見て、AIやロボットが人間の仕事を奪うことを恐れている人が多いようですが、私はむしろ早くそうなってほしいと思っています。AIやロボットが、いま私たちがやっている仕事をしてくれるのであれば、AIやロボットに働かせて稼がせて、その利益を私たちがもらえば良いのです。もちろんそれは私たちがITを使いこなせる力を持っていることが前提ですが、そうなれば楽しいと思いませんか?
AIが仕事をしてくれる社会は、どうなるのでしょうか。私は、「超ヒマ社会」になると思います。とってもヒマになったら、皆さんは毎日何をしますか? 遊ぶ、食べる、恋愛する……やっぱり仕事をしたいという人も多いでしょう。勉強をしたいという人も多いと思います。ただ、おそらく好きな仕事や好きな勉強しかしないのではないでしょうか。私は、2030年頃にはそのような社会になるのではないかと期待しています。
これからの時代に必要なのは「つくる」力と「変化を楽しむ」力
そんな社会で生き抜くには、「つくる」力と、「変化を楽しむ」力の2つが必要になると思います。ここで問題になるのは、私は何をつくろうとしているか、あなたは何をつくろうとしているか、ということではないかと思います。
いま私がつくっているのは、「スポーツ」「まち」「学校」の3つです。おそらく「超ヒマ社会」で盛んになるものです。すべて2020年に本番を迎えます。
(※「スポーツ」「まち」については記事の後半でご紹介します)
日本はデジタル化後進国
これは、10年前のウルグアイで撮った写真です。
当時、ウルグアイは決して豊かな国ではなかったにも関わらず、小学生全員がネット端末を持って勉強できる環境を整えました。つまり、国策としてデジタル化を進めたのです。
彼らが持っているパソコンはMIT(マサチューセッツ工科大学)が開発した「100ドルパソコン」と呼ばれているもので、今では世界40か国で200万人以上の子どもたちが使っています。
この100ドルパソコンの設計図を作ったのは、私を含む日本人のグループです。これをMITに提案したところ、すぐにプロジェクトになって、アメリカ政府が動いて、10年前には発展途上国での1人1台を達成したのです。同じ年に私は同じものを持って日本の文科省でプレゼンをしたのですが、まったく話を聞き入れてもらえませんでした。それから18年間ずっと日本でもデジタル化を進めなければと動き続けているのですが、なかなか難しいものがあります。
日本は、デジタル化の点でまだまだ途上国です。ウルグアイでは10年前に子どもが1人1台端末を持っていたのに、日本では今でも小学生は6人に1台の割合でしか端末が用意されていません。ここから1人1台持てるようにするのはまだまだ道のりが長そうです。
問題はこの状況を社会の大人がほとんど理解していないことです。
以前、京大で入試のカンニング事件がありました。試験中にガラケーでYahoo知恵袋に問題を投稿して、他の人の回答を答案に書き写した、というものです。ところで当時、文科省で専門家が集まって「教育の情報化ビジョン」というものを作っていたのですが、その時に何度も「これからの学びで一番大事なこと」として出てきたキーワードが「教え合い・学び合い」でした。
このカンニング事件は、まさに情報化のテクノロジーを使った「教え合い・学び合い」ではないでしょうか。それなのにこの学生が逮捕されてしまうのは、私は何だかおかしい気がするのです。学校が提供している勉強と社会で求められていることがずれているということに、私たち教育者側が気づいていないのではないでしょうか。
2017年から慶應義塾大学では入試に時計を持ち込んではいけないことになりました。アップルウォッチを悪用する恐れがあるからです。となると、もうすぐグーグルグラスが普及しますから、眼鏡も禁止になるかもしれません。ウェアラブルコンピューターが普及したら、服を着ることも禁止になるのでしょうか。これはネットありきの問題を出せない大学側の問題なのではないかと思います。
新しい教育の芽
子どもの創造性を育てる教育
私は現在、デジタル技術を使って子どもたちが色々なものをつくり、創造力や表現力を高めるプロジェクトに取り組んでいます。CANVASというNPO法人を作って、17年間活動を続けてきました。
プログラミングやロボットづくり、アニメや音楽作りなどのワークショップを日本中で開催しています。一度開催すると約10万人の子どもが集まるようになり、世界一の子ども創作イベントに成長しつつあります。
ただ、このような課外活動をどのように学校に取り入れるかということが課題です。
教育のデジタル化
また、誰もが学校でパソコンやネットやデジタル教科書を使えるようにしましょう、という運動を2010年に始めました。小宮山宏元東大総長やソフトバンクの孫正義会長、隂山英男先生や鈴木寛先生などの協力のもと、昨年やっと学校でデジタル教科書を使うことを許可する法律ができました。そして同時にプログラミング教育も必修化されることになりました。ようやく日本も変わりそうだな、という気配がします。
日本には、スマート教育のインフラの整備と、IoTの先端改革が必要です。
国と民間と学校が協力し、先端技術を学校に入れて、AI・IoT時代の教育を構築したいと考えて、昨年「超教育協会」という団体を作りました。
新しい教育
他にも、吉本興業とNTTがタッグを組んで、「Laugh & Peace_Mother」という教育コンテンツを世界に配信するプラットフォームをつくるという発表がありました。
その内容はすべて、先ほどお話したCANVASの創造性教育になることが決まっています。勉強というよりも、遊んで学ぶスタイルです。ちなみに教育コンテンツの映像を作るのは、「チコちゃんに叱られる!」のプロデューサーの小松さんです。このプロジェクトに対して、政府のファンドであるクールジャパン機構が100億円出資することになりました。
日本でも面白い流れが生まれてきたと感じています。ようやく正しいところに光が当たり始めたと思ったので、私は次のプロジェクトに移ります。
i専門職大学
今度は、4年制の大学を作ります。それが、i専門職大学です。
ひとことでいうと、私が18才だったら入りたいと思える大学です。
場所は東京
これからの時代は、国家間の競争から都市間の競争に変わります。「世界で一番創造的な都市はどこか」という国際アンケートで、東京は1位に輝きました。経済規模で考えても、東京圏とニューヨーク圏が世界のツートップです。特許の数でも東京がトップになっています。文化の面でいえば、たとえば東京にあるミシュラン星付きレストランの数は、本場であるパリにある数の倍だそうです。東京はそのくらい世界的に見て魅力的な場所なのです。
(出典:アドビ、クリエイティビティに関する世界的な意識調査「State of Create: 2016」の結果を発表)
i専門職大学で実行する5つのこと
①ICTやビジネスを英語で学ぶ
ICTやビジネスのスキルは当然身に付けなければならないと考えています。
たとえば、音楽業界はプログラマーの世界になっているそうです。「プログラミングで曲を作ってボーカルを一人連れてくればバンドになる」のだそうです。おそらく、今後はどの業界もそうなっていくのではないかと思います。
②企業で学ぶ
教室に集まって話を聞くという教育スタイルは、もう終わりだと思っています。そうではなくて、みんなで学校の外に出ていって、みんなで一緒に学ぶ形にしたいと考えています。ですから、学生全員を企業のインターンに行かせます。
③企業とつくる
i専門職大学は企業とつくります。教授の8割はビジネス界から呼びます。既に100社を超える有力な企業が、インターンの受け入れや産学連携プロジェクトなどで協力してくれることになっています。
④オンライン教育の充実
スマホがあれば十分学べると思うので、授業は無くしてしまいたいと考えています。キャンパスは学ぶための場所ではなく、みんなで集まって実際に何かをつくる場所にしたいです。
⑤東京×東京
i専門職大学の拠点は2か所です。本校舎は墨田区のスカイツリーのそばで、豪華なキャンパスを現在建設中です。そしてサテライトのオフィスを、竹芝で私がつくっているまち(記事後半参照)に置きます。つまり本校舎を成田空港の玄関口、サテライトオフィスを羽田空港の玄関口に配置し、東京の国際拠点をこの大学で結ぼうという構想です。
5つの野望
先ほどの5つは必ず実行すると決めているのですが、それとは別にチャレンジしようと思っていることが5つあります。
①客員教授を100人呼ぶ
魅力的な客員教授を集めて、世界のどこにもできなかったコミュニティをつくろうと思っています。
吉本興業の大﨑洋会長やmixiの笠原健治さん、東大の教授などの方々に集まってもらうことになっていて、実は既に100人以上が集まっています。どんどん集まってきているので、来年の開校までに200人を超えさせたいと思っています。1学年の学生の定員が200人なので、世界初の、学生よりも教授が多い大学が誕生することになります。
②全員入社
学生全員が入社できる会社をつくって、教員と学生が一緒にビジネスをして学費を稼げるようにしたいです。
③全員起業
学生全員が4年の間に一度は起業するようにしようと思います。9割は失敗するのではないかと思いますが、学生の間に一度は失敗しておいた方が良いと思うのです。大学ごとの就職率というものがありますが、i専門職大学では就職率0%を目指しています。どういうことかというと、今ある会社には就職せず、全員が起業に成功するということです。
④教育特区
サテライトオフィスの方は既に教育特区の認可をもらっているのですが、本校舎の方でも教育特区の認可をもらって、これまでできなかったことをやったり、海外の有名大学と提携を結びたいと思っています。たとえば、学生がiUチャンネルという放送局を作って世界に発信したり、学食で学生とおばちゃんが毎日屋台を出したりできたら良いなと思っています。
⑤パスポートを作る
海外の多数の学校と連携し、行き来して学べるキャンパス・パスポートを作ります。
高校生の声
i専門職大学に関心のある高校生を集めて、どんな人に教わりたいかを聞くと、クリエイターやデザイナー、Youtuberや芸人、起業家、社長、政治家に教わりたいという声が上がりました。いわゆる大学の教授や評論家に教わりたいという人はいませんでした。やはり、何かをつくっている人に学びたいようです。私はそれが正しいと思います。
さらに、高校生に何をしたいかを聞くと、「ドローンレース」「テレビチャンネルを作る」「ブランド品を作って売る」「i専門職大学だけで食べられるメニューを作る」「仮装通貨を作る」といった声が上がりました。私は全部できると思います。今の高校生がやりたいと思っていることを全部できる場にしたいと思っています。
i専門職大学にかける想い
i専門職大学の「i」は、
・イノベーション(革新)
・インフォメーション(情報)
・インテリジェンス(知性)
・イマジネーション(想像)
・I(私)
・愛
(・伊知哉)
の「i」です。
私自身が授業に出て、学長でありながら学生になり、ワクワクできる学校をつくりたいと思っています。みなさんも、自分自身がワクワクできる学校があれば入りたいと思うのではないでしょうか。世の中には色々な学びの場やチャンスが増えてきています。私は58歳ですから、人生100年の折り返し地点にいます。改めて学ぼうと思っています。
中村先生がつくっているスポーツ
私は新しいスポーツをつくっています。ITやロボット、ヴァーチャルリアリティなどを駆使することで人と機械が融合した新しいスポーツ、超人スポーツです。機械を身に付けることで、誰もがスーパーヒューマンになることができます。
考えてみれば、オリンピック種目にしろ野球にしろ、だいたいのスポーツは19世紀頃、つまり農業社会で生まれたものです。工業社会ではモータースポーツも生まれました。
では、情報社会に生きる我々はどんなスポーツをつくれば良いのでしょうか?
私が考えているのは、機械を身に付ければ子どもでもウサイン・ボルトよりも速く走れるようになるだとか、おばあちゃんでも吉田沙保里選手に勝てるだとか、ゴーグルをつけて、手からかめはめ波を出して戦うだとか、これまで誰も見たことがないような、誰もが乗りこなせるような車を使ってレースをやるだとか、そんなスポーツです。それから、道具もつくろうと考えています。私でも魔球を投げられるボールだとかですね。
そして、それはみんなでなければつくることができません。私だけではつくれないのです。学者、研究者、学生に漫画家、デザイナーもアストリートも参加して、現在みんなでつくっているところです。私と東大の稲見昌彦教授が共同代表として、超人スポーツ協会というものをつくりました。
今は、ドローンを使ってみたいと考えています。以前、ドローンが首相官邸に落ちる事件が起きてから、ドローンが悪者のようになってしまい、規制が入ってしまいましたが、むしろドローンをお互いにぶつけ合うような危険なドッジボールをしたら面白いのではないかと思って、種目を開発しているところです。
さて、スポーツといえばもう一つ、eスポーツというものがあります。こちらはみなさんもご存じなのではないでしょうか。ゲームでの対戦を、最近はスポーツと捉えるようになりました。アメリカや韓国などでは、プロがどんどん生まれてきているのですが、日本はゲーム大国でありながら、eスポーツの後進国です。
私は、eスポーツの日本での盛り上げ役になっていて、たとえば昨年は、ジャカルタで開かれたスポーツの世界大会で、デモンストレーション競技としてeスポーツが行われ、日本の高校生が金メダルを獲りました。次のアジア大会は、2022年に中国で開かれますが、そこではeスポーツが正式種目になることが既に決定しています。
早ければ、2024年のオリンピックでeスポーツが正式種目になるかもしれません。そうなれば、来年の東京オリンピックではeスポーツのプレ大会が行なわれます。ぜひとも成功させたいと思います。
中村先生がつくっているまち
超ヒマ社会を楽しめるように、eスポーツやデジタル映像ビジネスのようなpopとtechがつまったまちを東京の竹芝につくろうとしています。CIP(コンテンツイノベーションプロジェクト)というプロジェクトです。
デジタルとコンテンツが集積した国家戦略特区として、来年の東京オリンピックの直前にオープンする予定です。
40階建てぐらいのビルを建てて、そこにITやAIやIoTやロボットのような新しいテクノロジーをたくさんつめこみます。シリコンバレーとハリウッドを合体させたようなまちでありながら、日本にしかできないような、面白いまちにしようと思っています。
現在、このまちをつくるにあたって、通信、放送、IT、音楽、アニメ、ゲーム、大学など約50の企業や団体が集まっています。今後さらに多くの大学がこのまちに参入する予定です。
この地区は総理大臣から国家戦略特区としての認定を受けているので、これまでにやってはいけないとされてきたことをやりたいと思っています。
たとえば、羽田空港から竹芝までドローンを海の上に飛ばしてドローンタクシーを通したり、車で走るだけでワイヤレスで車に給電できるようにしたり、特殊な電波を飛ばしてロボットを動かすIoT放送局をつくったり、いろんな可能性が考えられます。今ある先端テクノロジーを全部つめこんだまちというのは、実は世界にもありません。
このようなことを来年までに実現させるために、慶応義塾大学や東京大学の先端研、理化学研究所などと話を進めているところです。
私は、CIPを初音ミクのようなまちにしたいと思っています。初音ミクは世界的に著名な日本のアーティストです。「ロンドンオリンピックの開会式で歌ってほしいアーティスト」という世界的なアンケートで1位を獲ったのは彼女です。
初音ミクには「テクノロジー」「表現」「ネット」の3つの要素があります。ここでいう「テクノロジー」とは、作詞と作曲をして入力すれば歌ってくれるソフトウェア、日本のボーカロイドの技術のことを、「表現」とは、このかわいいキャラクターのことを、そして「ネット」とは、このキャラクターをネット上でみんなで育てているということを指しています。育てるというのは、「歌ってみた」「踊ってみた」「作曲してみた」と、それぞれが自分の持つスキルを使って投稿していくことで、ネット上のコミュニティの力によって成り立っています。つまり、そんな風にテクノロジーと表現が融合し、みんなで育てていくようなまちをつくりたいと考えているのです。
先日、外国の方に「日本で一番クリエイティブなのはお母さんだよね」と言われました。なぜなら、日本のお母さんは和食も中華もイタリアンもフレンチも、何でも作ることができるからだというのです。何でも作るからこそ、日本ではクックパッドが生まれました。日本人の「つくって楽しむ」力の源は、日本のお母さんだったのかもしれません。
3 プロフィール
中村伊知哉先生
慶應義塾大学教授
1984年ロックバンド「少年ナイフ」のディレクターを経て郵政省入省。通信・放送 融合政策、インターネット政策を政府で最初に担当するが、橋本行革で省庁再編に携わったのを最後に退官し渡米。
1998年 MITメディアラボ客員教授。2002年スタンフォード日本センター研究所長。2006年より慶應義塾大学教授。
2020年開学予定のi専門職大学(仮称)学長に就任予定。
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