休憩時間(時間外労働)に関する管理職の義務違反について

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作成者:matui hiroshi (Edupedia編集部)さん

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妙な時間に休憩時間が設定されている。


教員は給食の時間には配膳や片付けの指導をしなければならず、食べている間も絶えず「子供たちが残食を出しすぎないか、大声を出して混乱をしないか」等、見守っておかなければなりません。中学校は弁当の場合であっても教員は見守りをしています(40年前なら放任していても何ら問題はなかった)。そうしないとたちまち給食の時間が荒れ、弱肉強食・混沌の世界が繰り広げられるからです。実際に荒れていた頃の中学校では早弁をした生徒が弁当の時間に弱者から弁当を巻き上げるといった状況が少なからずありました。
そのため、教員は昼食の時間は職場を離れることができません。職場を離れて自由に休める状況でなければ休憩とは認められないので、教員の休憩時間は「労働時間の途中」と言っても、「終わりの方」に設定されます。休憩時間の設定は労使の合意の下、校長が定める事になっているようです。私の学校では勤務時間は8:15~17:00の8時間45分であり、休憩時間はそのうちの15分を13:00~13:15、45分を終業近くの16:00~16:45分に取得することになっています。だいたいの学校でその辺りに休憩時間が設定されています。ならば、勤務時間を8:15~16:15にしてせめて早く帰ることができるようにしてほしいと思うのですが、
【労働基準法第34条】 休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
という縛りがあるため、妙な時間が休憩時間となっています。(そもそも、この多忙化の状況下、16:15に仕事を終えて帰ることができる教員などごく一部。)
昼間に15分の休憩をもらっても、児童がいる限り学校外に出ることができる状況ではないので、この設定自体がおかしいのです。

休憩時間はいらない?


ある時の職員会で、
「休憩は欲しくないという方、挙手願います。」
と聞いたところ、2・3人の手が上がりました。おそらく、「休憩時間はいらないので、早く職員会を終わらせて帰りたい」と思って挙手したのだと思います。約95%の教員は挙手しませんでした(当然、休憩したいに決まっている)。たいていの教員が、休憩時間をもらっても、結局その分帰宅が遅くなるので休憩を放棄して働き続けます。私の学校ではノンストップで12時間超の労働が常態化しています。トイレに行く暇もなく働かされているので、帰宅途中に「あっ、我慢していたんだ。」尿意に気付くことがたびたびあります。
職員全体の業務総量が1日12時間労働を超えても追いつかないほどの状況であるから、みんな本来なら休憩の時間帯に会議を入れられても文句を言わず、いや、言えずにやり過ごしているのです。

それをいいことに、管理職は平気で休憩時間帯に職員会議・研修会議・学年打合せ等のオフィシャルな会議を設定してきます。昼の休憩なしで働かされ続けた挙句に、教員側の休憩時間放棄をあてにして会議を設定する学校運営は異常です。
教員の休憩時間放棄や賃金不払い労働は、<自由意志で>あるいは<自主的に>行っているものとみなされ、「学校滞在時間」と表現されることがあります(労働組合までがこの表現を使っていることさえあります)。中には(昔は)のんびりダラダラと仕事をやっている教師がいないわけではないですが、ほとんどの教員は火の車状態でやむにやまれず働いているというのが現状です。

管理職の横暴はいじめと同等で法律違反


教員側が「休憩を取りたい」と言えない(人事権者への忖度)・言わない(休憩を取るなら早く帰りたい)ことをいいことに小中学校の管理職は休憩時間(16:00~16:45)に職員会議・研修等オフィシャルな会議を設定してきます。教職員の休憩時間放棄が前提なのです。
しかし、よく考えてみて下さい。先の労働基準法第34条も「使用者は・・・休憩時間を・・・与えなければならない。」と、労働者の権利としてではなく、使用者、つまり管理職の「義務」を謳っています。休憩時間に会議を設定するのは管理職の横暴です。法律違反であるし、「『やめて』と言わなかったから暴行を続けた」と同等のいじめ加害者の定番をしています。悪質ないじめと同等の法律違反です。

「他の学校もそうだ」との言い訳もあるでしょう。それは、「他の奴もいじめをしている」と同等の悪質な言い訳です。

「自分の時代もそうだった」という言い訳は、部活のいじめと同等のクオリティーの低い縦型社会的発想です。

せめて会議を設定する前に、学校の運営主体である管理職が労働者側に休憩時間放棄を要請し、承認を得るべきではないでしょうか。そして、学校運営のまずさに関して謝るべきではないでしょうか。

振替休暇などとっていられない


特に職員会議は限定四項目(超勤四項目)に含まれているため、管理職が時間外勤務を命じることができます。であれば、残業代を出すか振替休暇を与える必要があると思います。ところが、そうはなっていません。
「休憩時間がとれなかったなら振替休暇を取ればいいじゃないか」という管理職の定番の言い訳があります。この20年ほどで夏休みが削られ、夏休みに研修を入れまくられるようになりました。年間で10日間の年休も消化できない状況の教員もいます。毎日のように休憩時間放棄と賃金無払い残業が続く中で、振替休暇など取れば、仕事がこなれず、自分がしんどくなるだけです。業務総量が減らされない限り、振替休暇の取得など自分の首を絞めるだけです。振替休暇を取ることができるように、超過勤務を命じた側(管理職)が振替休暇の確保ができるように労務管理(調整)を行うのが「筋」でしょう。

私の学校の規模(人数)では職員会議を6時まで続けただけでも担任等の「休憩時間放棄+賃金不払い労働」の総時間数は軽く50時間を超えます。50時間の振替休暇時間の確保など至難の業です。週当たりの労働時間を40時間/人であると考えれば、人ひとり増やさなければならない計算になります。お金に換算してみると、時給2000円で計算してもざっと週10万円です。月一回の職員会議だけでこれだけのコストがかかっているのですから、毎日の不払い労働をきちんと支払うとなると、大変な額になります。毎日25人の職員が休憩時間を放棄して6時まで働けば、月に200万円のコストがかかります。

「訴えればよい」という開き直り


以上の事を職員会で校長に指摘すると、捨て台詞で「訴えればよい」と言うのです。休憩時間の放棄や賃金不払い労働状況は何も職員会に限ったことではなく、ほぼ毎日、この状態が続いています。訴えられても勝つ自信があるようです。しかし、仮に法律上で校長が勝ったとしても、モラル上の問題はどうなるのでしょうか。法に触れなければ何をやってもよい(いやいや、十分に法律違反)というのは、最近流行りの論理なのでしょうか。であれば、道徳教育などとうてい成り立たなくなるのではないでしょうか。道徳は法で規定されない範囲の規範を示しているのではないでしょうか。ほとんどの学校生活上のルールは法律で定められたものではありません。校長が「裁判で勝てればよい」と言い張るのは言語道断であると思います。

ではどうすればよいのか


何も、「休憩を取る余裕もない」という学校文化がすぐに改革され、休憩を取った上で17時に勤務終了と言う状況が生まれるとはたぶんどの教員も分かっているでしょう。しかし、「休憩時間・勤務時間外の会議や逃げにくい労働」を入れる場合は、せめて、
① 【告知】休憩時間に設定しています。
② 【謝罪】学校運営が不味く、申し訳ないです。
③ 【説明】休憩を取りたい方、帰りたい方はやむを得ません。欠席してください。
④ 【始末】振替休暇をお取りください。
と、毎回アナウンスをするべきであると思います。
また、業務総量を明らかにするために、職場全体で月に合計何時間の時間外労働が発生しているのかを把握し、教職員・管理職・教育委員会・教職員組合で共有する仕組みを作るべきです。こうしてキツい記事を書いているのは、単に休憩時間の放棄という問題を取り上げたいからではありません。休憩時間の放棄など、ずっと続いていることなのです。私自身、そんなことにはもう慣れていますし、休憩時間の取得が可能な職場に変わることが可能であるとは思っていません。休憩時間の放棄の裏には、根深い多忙化の問題があるのです。
忙しくても、それだけの成果があがっているなら、それならまあいいかと思えるのです。しかし、ここ20年ほど続いた教師バッシングの経緯の中で「学校という職場の自由度」が失われてしまい、学校は抜き差しならぬ状況に達してしまっています。このことを何とかしなければならないと思って、「休憩時間の放棄問題」を取り上げているに過ぎません。休憩時間の放棄問題は切り口の一つでしかありません。今まで、「これも子供のためだ、頑張ろう」と思ってやってきた複雑で奇怪な無理と無駄が積み重なって、学校現場が立ち行かなくなっていることへの危機感があるのです。「根本的な業務改善」を見通した管理職の言動を求めていかなければ、多忙化によって学校運営がますます破綻し、そのしわ寄せが子供達の荒れにつながることは目に見えています。1980年代の中学校での校内暴力級の狂気ではないにしても、学校の荒れはもうすでに40年ほど続いています。

校内暴力とは何だったのか ~1980年代教育暗黒史

40年続いている「終わりのない破綻」をこのまま受け入れているわけにはいかないと思うのです。

「教師のブラック残業問題」に関しては、内田良氏の発言が発端となり、内田良氏・妹尾氏がオピニオンリーダーになってくださっています。本当に感謝です。
最後に内田氏の著書「教師のブラック残業」から、引用させていただきます。
「今後、この議論がどういった結論にたどり着くかわからない。しかし、傍観するだけではいたくない。思いがつながれば、きっと、社会を動かす大きな力になると、私は信じている。」

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