マイナス発言への対処 ~学級指導

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空気が読めない

学級会で「休み時間にみんなで長縄をする」と多数決で決まったとき、音楽会の練習で教師が「もう一度だけここの部分を練習します」などと言ったとき・・・いろいろと事あるたびに「えー!」「はあぁ?」とか、「なんでそんなことやらなきゃいけないのー」などと、マイナス方向で発言をする子供が増えているような気がします。大半の子供がやる気になっていたり、楽しみにしていたり、文句言っても仕方ないから頑張ろうと思っていたりしていても、その空気が読めず、自分の気持ちを思わず口にする子供です。
集団で生活・行動している限り、自分の意に沿わないことをやる羽目になることもあるのは当たり前です。個人主義が進んで、その程度のこともわからず、我慢ができずについ自分の気持ちを口に出して、周りのムードを「残念な感じ」にしてしまいます。それを続けられると、学級の状態は悪くなっていきます。我慢ができない子供の持つムードが全体に蔓延していくと、学級崩壊・学年崩壊を起こしかねません。

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にも、同様の言葉の問題・学級崩壊の問題を取り上げた記事がありますので、ご参照ください。

我慢ができないなら

まず、どういう発言が、みんなの気分をマイナス方向にもっていってしまうのかを具体的に示して、それを「マイナス発言」と名付けましょう。そうしておけば、「今の○○さんの発言は、マイナス発言でしたね。今、それを言ってどうなるというのですか?」などと、マイナス発言が出た時にたしなめることができます。
何度言ってもマイナス発言を繰り返すようであれば、次のように迫りましょう。
「本当にどうしても嫌であるなら、みんなの前でマイナス発言を言うのはやめて、後で先生に言いに来なさい。それで納得できないならA先生(学年主任や生徒指導担当)に相談しなさい。それでも納得できないなら、教頭先生に相談しなさい。それでもだめなら、校長先生です。ただし、教頭先生や校長先生に相談する時には、あなたのお家の人もいっしょに付いて来てもらってください。」
本当に教頭・校長に相談する場合はあらかじめ校長・教頭に報告しておきましょう。

 我慢が勉強

私は、常々、子供たちにこう言っています。
「学級(学校)は小さな社会です。社会の集団の中では、自分が本当はしたくないこともしなければならないこともあります。(具体例を挙げる。音楽が嫌いでも歌うことも勉強です。今は嫌でも、十年後、二十年後にはよかったと思えることもある。等。)そこを我慢することが大切な勉強なのです。我慢が勉強!」
「マイナス発言を止めなさい。」
とは言うものの、学校生活は、我慢をさせることが主旨ではありません。「我慢」と同時に「楽しさ」もある学級にしていかなくてはなりません。子供たちの「ガッコーという場が性に合わない事がある」という気分も十分に理解しながら、それでも厳しく接することが大切だと思います。「楽しさ」のために、少しくらいの我慢ができる学級を作っていきましょう。

言葉は大切です。

 空気が読めないことは悪いのか(追記)

コメント欄“1児の父”さんからのご意見をいただいています。これにお答えする形で、追記(補足)を行います。
私(筆者)はどちらかと言うと、空気を読めない人(俗称KY)は好きです。KYに対してはシンパシーさえ感じています。私自身がKYですし、空気は敢えて読みたくないという気分もあります。KYは人の話は素直に聞き入れることができず、すぐに逆張りをしてしまうし、協調性を強いられると逃げたくなる性向があります。
そういった多数の考えに対して反対の意見を持つことは悪くないと思っています。教師の無茶ぶりや教育制度の矛盾、学校のおかしなルールなど、不条理に対して反骨精神を持つことは大事だと思っています。

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多様な考え・意見が認められるべきです。物事を変えていくにはKYなエネルギーが必要だと思っています。何かと同調圧力をかけやすい、かかりやすい学校現場では、十分に多様性に配慮する必必要があると思います。
しかし、この記事(マイナス発言への対処)を書いていた当時、私は何度目かの学級崩壊に直面していました。学年付きで教科担当で4クラスに入っていて、どのクラスも非常に苦しい状況でした。何をしてもマイナス方向の言葉を聞こえよがしに言ってみる子供がどのクラスにも複数人いました。「空気が読めない」言動によって、クラス・学年の雰囲気はどんどん下降していき、1クラスがどうにもならない所まで落ち込んでしまいました。
この記事に書いている「空気が読めない」は、「反骨精神」などとは程遠いレベル・性質のものです。単なる「妨害」としか思えない言動であり、それによって学級崩壊が引き起こされました。「反射的に逆を言う」「批判のための批判」「周囲を困らせたいだけ」といった考えの子供たちが、思ったことを思った時に口にします。「折れ合う」つもりは全くなく、自分の考えに固執して譲歩をしない。言いたい放題、やりたい放題でした。
自分の言動で、周りが嫌な思いをすることを考えられないことは、問題だと思うのです。
この記事で言う「空気が読めない」がどういうレベルの状況なのかは、伝わりにくかったかもしれません。まじめに一生懸命に頑張っている子供たちや楽しく学校生活を送りたい子供たちが悲しんでいる、とても残念な気持ちになっていることに対してお構いなしに、片っ端から「妨害」に走る子供たちに振り回され続けました。何度もそういった学級崩壊したクラス・学年に遭遇しました。「妨害を目的としたマイナス発言」をする児童が最初は数人でも、あっという間に周囲は悪い方向に巻き込こまれ、学級崩壊に向かってゆきます。学級崩壊は教師の力量の問題だと片づけることができない問題です。そこに巻き込まれてしまう子供たちの被害(子供たちにとっては2度と帰ってこない時間です)がどれだけのものか。怒りと哀しみに震えながらこの記事を書いたことを記しておきます。

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等も、ご参照ください。

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コメント

コメント一覧 (3件)

  • 最後の結びは同意です。
    建設的な目標を優先にして、学級の進行があるべきだと大きく肯きました。

    けれどご提案の、問題の指摘が煩雑ではないでしょうか?

    「空気が読めない」のが悪い?
    この言い回しは、学校の現場でイジメの原因として頻繁に挙げられる言葉では。全体主義的に傾倒してしまいがちな学級という集団において、非常にデリケートな要素だと思います。
    先生は「空気が読めない」生徒は除外されるべきと考えておられるのか?

    「取り決めに関するルールは整備されていて、正規の手順を踏んで決議されたのに関わらず、反対意見を申し出るべきタイミングでそれをしなかった者が、決議が終わった後に反対意見を出してくる」

    問題点を表すのであれば、決議の規則を守れない事のはず。「空気が読めない」ことが問題ではない。
    学級の取り決めは大小関わらず、正規の手順に則って進められるべきであって、「空気」つまり「おおむねの賛成」だけで進められるべきではない。もしそうならサイレントマイノリティのストレスは蓄積するばかりになる。
    もしかすると表記の「空気を読めない」生徒は、沈黙する反対意見を持つ生徒達の「空気」を察知して、自らを奮い起こして声を上げたのかもしれない。とさえ、訝しんでしまう内容になっている。

    その対処する方法の手順がヘン。

    ”「今の○○さんの発言は、マイナス発言でしたね。今、それを言ってどうなるというのですか?」などと、マイナス発言が出た時にたしなめることができます。“

    「たしなめる」?
    それこそ「マイナス発言」では。

    たしな・める【×窘める】 の解説
    [動マ下一][文]たしな・む[マ下二]
    1. よくない点に対して注意を与える。いましめる。「不作法を―・める」
    2. 苦しめる。なやます。「外国人を追払わんとし、却て其夷狄 (いてき) に―・めらるる」〈福沢・学問のすゝめ〉

    出典:デジタル大辞泉(小学館)

    2の高圧的で攻撃的なニュアンスが「たしなめる」という言葉には含まれる。
    そういうつもりがあろうと、なかろうと、相手に伝わるのが言葉のニュアンスです。
    教師の威圧する態度が子どもの反発心を硬化させて、一層溝を深くする。
    揚げ足取りかもしれないが、示される言葉から普段の態度が察せられる。

    何度も聞かない子どもには、授業後に面談、それでもダメなら教頭・校長に報告、親も呼び出しと「迫りましょう」だって?
    もはや脅迫じゃないか。。。

    初動対応で結果は大きく違ってくる。対応者が向いている方向に物事は向かっていくんだから。
    そんな教室外の展開は「絶対に避けなければいけないこと」として、危機管理的に教師の胸に仕舞っておくべきで、教育者として「我慢するべき」では?!
    教室内で起きた問題を教室外に出さなければ解決できないのは、指導者のひとつの敗北のはず。
    万が一にも起きて欲しくないと、子どもも親も願うことを、先生が「次の手」としていつも隠し持っているような状態は、あまりにも悲しい。

    ストレスエラーは集団の中で、冬の静電気のように散在するでしょう。
    ノイジーな反対意見への対応策は、それをせめて痛くないように縮小するための加湿器のような方法が採られるべきと願う。
    決してより強い言葉や権力で制圧することではないはず。埃が溜まれば静電気でも火事に至る。

    言葉と態度って大切だと思います。いかがですか?

    • たまたま通りかかったものです。貴方の言うことは理解できます。対応策についてもう少し具体策を述べていただけると勉強になります。

    • 「たしなめる」について「デジタル大辞泉(小学館)」でお調べになってまで指摘をされていますが、
      >1. よくない点に対して注意を与える。いましめる。「不作法を―・める」
      と、あるので、その意味でこの言葉を使うことにそれほど問題があるとは思えないのですが・・・
      厳しい状況の中であるなら、叱り、たしなめることは、必要です。
      管理職や親と問題意識を共有して客観的な指導となるように努め、「担任←→子供」の密室的な2者間での(感情的な)問題にとどめておかないことも必要な措置だと思います。マイナス発言をした子供の主張が正しいこともあるだろうし。

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