「学校の多忙化」の改善(業務改善)4 ~具体的な業務改善のアイデアICT編

60
目次

業務改善にICTを活用を

業務改善にはICTの活用がたいへん効果的です。ICTスキルを上げるにはそこそこの時間がかかりますが、業務の効率化・情報の共有をすることは業務改善を大幅に推進させることとなると思います。一人一台のパソコンが導入されるようになって久しいにもかかわらず、いまだにショートカットキーの使い方すら身についていない教員は多い(しかも若年層がけっこう使えない)です。学校は文科省以下、大変大きな組織(初等中等教員だけで75万人)であるというのにICT化は遅々として進んでいません。ICT技術は日進月歩で発達してきており、これを有効利用しない手はありません。以下、ICT化による具体的な業務改善について述べていきたいと思います。

※ この記事は、新しい改善のアイデアがあれば今後もアップデートをしてゆこうと考えています。EDUPEDIAユーザーの皆さんからもアイデアをいただけるとありがたいです。

EDUPEDIAには業務改善一般に関する記事がたくさんあります。下記リンク先をご参照ください。

「教員の多忙化」というキーワード の学習指導案・授業案・教材 一覧
【五月祭教育フォーラム2018】「教員の多忙化」記事特集ページ
「学校の多忙化」の改善(業務改善)1 ~「残業の見える化」から始める
「学校の多忙化」の改善(業務改善)2 ~学校の業務改善をどう考えるか
「学校の多忙化」の改善(業務改善)3 ~具体的な業務改善のアイデア
「学校の多忙化」の改善(業務改善)4 ~具体的な業務改善のアイデアICT編
「学校の多忙化」の改善(業務改善)5 ~成果報告
休憩時間(時間外労働)に関する管理職の義務違反について

また、下記の著書は業務改善一般を考える上での大事なポイントをわかり易く解説してくれているので是非ご参照ください。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]「先生が忙しすぎる」をあきらめない 半径3mからの本気の学校改善 [ 妹尾昌俊 ]

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]先生2.0 日本型「新」学校教育をつくる [ 能澤 英樹 ]

EDUPEDIAにはICTに関する記事もたくさんアップされています。「ICT」をキーワードにサイト内検索をしてみてください。

1 ICT研修の必修化

2000年前後は学校のICT化が進まないのは団塊の世代がデジタルに弱いせいだと思っていましたが、約20年を経て、考え直さねばならないと感じています。団塊の世代は既に全て退職したはずなのに、未だにICT化は十分に進んでいるとは言えない状態です。

GIGAスクールが導入されても紙ベースの配布物が多く、口頭で「伝言ゲーム」をやってしまう学校文化も改まりません。「携帯をいじるのは得意だけれど、エクセルは使えませーん」という若手も多いです(大学の教員養成課程は何をやっているのでしょうか??)。委員会単位で、校内で、ICT研修を必修化し、デジタルに強いリーダーが職員のスキルアップを図っていく必要があると思います。一度に研修をしても頭に入らないのであれば、職員会議のたびに少しずつ研修の時間を設けて、粘り強くICT化(≒業務改善)を進めていくとよいと思います。

2 校務の情報化推進担当の設置

ICT担当とは別に校務分掌上に校務の情報化推進担当を設置し、ICT化の推進を図ります。下記の記事は、推進担当が職員会議を通して伝達した内容について書かれています。是非ご参照ください。

校務の情報化の推進 ~教職員への伝達事項

3 校務支援システム

そして、何と言っても便利なのは校務支援システムです。早い段階で動いた自治体は高くて不便なシステムを導入して「業務改悪だ」などと不満が噴出したようですが、業者を間違えなければ驚くほどの改善が期待できます。業務改悪の機能があるならば、それを改善するように教育委員会に訴える必要があります。校務支援システムの導入は組合・委員会案件でしょう。粘り強く現場からの導入や改善の要望の声を届けるしかありません。
下記リンク先をご参照ください。

校務支援システムの導入と運用

4 共有フォルダの構造を統一する


机の上がぐちゃぐちゃであると、仕事がはかどらないのと同じで、共有フォルダがぐちゃぐちゃでは業務に支障が生じます。係を中心に、共有フォルダの構造を整理しておくことは重要です。例えば、以下のようなルールを作っておきます。

① フォルダの一層目を校務分掌で分けます。
② 2層目は「今年度」のフォルダと「過去年度」のフォルダにします。
③ 「過去年度」のフォルダの下には、「H30」「H29」「H28」・・・と、過去の年度に作ったファイルを格納します。
④ ずっと使うファイルに関しては、直下に置きます。
⑤ 教材フォルダを作っておき、職員が作ったファイルをそこに格納します。
⑥ ユーティリティーフォルダを作って便利なファイルをそこに格納します。
⑦ Othersフォルダを作って、該当しないファイルをそこに格納します。

ルールを作ってどんどんファイルを溜めてゆけば、仕事もしやすいし、データベースとしても活用できるようになります。すでにファイル容量を気にしなくてよいほどにサーバー容量が大きくなっている時代なので、過去のファイル・フォルダに関してはあまり気を遣わずにどんどん溜めておくという方法で十分だと思います。サーバー容量を圧迫するようであれば、「5年を経過した年度フォルダから削除してゆく」というルールを加えておいても良いかもしれません。
できれば、フォルダの構造は自治体で共通したフォーマットにしておくと、転勤があっても環境が変わらないので新しい職場に慣れるのが速いと思います。

5 引継ぎ書類のアップデート

毎年、人事異動や校務分掌の変更があり、次の担当への引継ぎが上手くいっていないのが現状だと思います。仕事の内容を口頭で伝えるのはなかなか難しいので、構造化されたフォルダの中に、次年度への引継ぎ書類を格納しておき、それを毎年アップデートしておくのが良いと思います。引継ぎ書類には仕事内容に加え、

① 年間を通してやらなけらばならない仕事。
② 4~5月に近々にやっておくべき仕事。

を明示して、アップデートした上で次の担当に渡せるようにしておくといいですね。

6 表計算(エクセル)で成績算出


通知票に関する成績処理には時間がかかります。校務支援システムの中に成績処理機能が組み込まれていたり、よい成績処理ソフトがあればよいのですが、そうでない場合は下のリンクの成績算出ファイルを活用してみて下さい。シンプルで便利です。

評価・評定をエクセルで「ダイレクト」「確実」に算出する ~ 算出方法について【教育事務ファイル】

7 掲示板で伝達して職員朝集をなくす

朝に職員集合をする学校は多いと思いますが、よく考えてみると朝一番に伝えなければならない連絡事項はそれほど多くないです。朝から教室でするべき案件が増えている昨今、少しの連絡事項のためにいちいち職員室に戻るのは手間です。職員集合はやめてしまっても差し支えはありません。

もし、電子的な掲示板があるなら、用件をそこに書きこんでおけばよいと思います。どうしても急いで朝一番で伝えたいことがあれば、掲示板の件名の頭に【朝一】等をつけるというルールを作っておけば、忙しい朝はその案件だけチェックして、残りは放課後にでもゆっくり確認すればよいと思います。

① 1日1回は必ず読む
② 伝えたいことは、その案件が伝わるべき日の前々日にはアップする。

というルールを設けていればよいと思います。②は、「朝に読む時間なんかないのに、前日にアップされたら連絡漏れが起こってしまう。」という意見に対応したものです。なので、「前々日にアップできなかったことは紙ベースの回覧などを回して伝達徹底する。」というルールも付記しておかねばなりません。

8 FAXの禁止

いまだにファックスを多用する大規模組織は学校以外にあるのでしょうか?電子メールで何とでもなる筈なので、委員会が主導してFAX禁止にするべきだと思います。まあ、委員会がFAX大好きなので、難しいのかもしれませんが・・・

9 メールやSNSの活用

一般社会で普通にメールやSNSが活用されるようになってきているのに、これだけ口頭や紙媒体で情報が伝えられる大規模な組織は学校以外にあるのでしょうか??デジタルデバイド(情報社会の弱者)の問題があるにせよ、活用できる所ではどんどんメールやSNSを活用すればいいと思います。システムとしてはメールやSNSがあるのだけれど活用できていないという自治体は多いと聞きます。委員会・学校単位で紙媒体からデジタルへの変換を促す、思い切った切り替えが必要であると思います。

10 プロジェクターと書画カメラの活用

プロジェクターと書画カメラを教室に常備している環境は、授業改善の中でもたいへん大きな威力を発揮する案件です(できれば常設のコンピュータも欲しい所です)。本当は委員会レベルで整備を進めてほしい所ですが、そうでなければなんとかして各校予算で実現を図ってください。詳細は下記リンク先をご参照ください。

プロジェクターを授業で活用しよう!

11 ショートカットの活用

パソコンを使う仕事はこの20年ぐらいに飛躍的に増えています。毎日のパソコン業務で頻繁に行う作業ををショートカットキーの活用で効率的に処理しましょう。是非「ショートカットキー」で検索してみてください。たくさんありますが、せめて下記のショートカットぐらいは覚えておきたいものです。

[Ctrl]+[Z] アンドゥ(取り消し)
[Ctrl]+[X] 選択した項目を切り取る
[Ctrl]+[C] 選択した項目をコピー
[Ctrl]+[V] 選択した項目を貼り付ける
[Ctrl]+[A] すべて選択
[Ctrl]+[S] 上書き保存
[F5] ウィンドウを最新の状態にする
[Windows]+[D] デスクトップを表示
[Windows]+[E] [コンピューター]を表示

また、「シャットダウン(スリープ) アイコン」をキーワードにして検索してみて、一発シャットダウンの技を試してみてください。毎日の業務なので、重宝すると思います。こうしたプチ業務改善を体験することによって、ICT活用の便利さを実感し、活用意欲を高めていけるといいですね。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメント一覧 (2件)

  • 最近こちらのページを知りました。ICT活用による業務改善を拝見し、私にも幾ばくかの力になれるのではないかと思い、コメントさせていただきました。
    学校でのアンケート集計やテストの採点に、マークシートが(しかも無料)使えたらいいと思いませんか。
    「マークシートSQS」で検索すると、山口県や岩手県などの取り組みが紹介されています。
    ほかに、私がこれをテストの採点用にまとめたページ「先生のためのマークシートのページ」もありますので、ぜひ多くの方にこちらを活用していただけたら嬉しいです。(因みに、こちらはインストール不要で利用できますので、管理者権限がかかっていても、利用できます。)

  • SQS 信者様。
    コメントありがとうございます。このサイトのコメント欄はお知らせ機能がないために、気が付くのがたいへん遅くなってしまいます。レスが遅れてすみません。
    https://edupedia.jp/article/5c57fb2a30cf73735da1002b
    大変興味深く読ませていただきました。ありがとうございます。
    是非、トライをしたいと思っております。・・・でも、多分なかなかトライができないのが現実なのですが。ICT化が鈍い→業務改善が進まない→余裕がない→ICT化が鈍い(涙)

コメントする

CAPTCHA


目次